Appleがその望みをかなえるのは以前よりはるかに困難だろう。現在は同じ夢を追い求める革新的な新興企業が多いからだ。Appleが乗り越えなければならないハードルは、これまでよりもはるかに高い位置に設定されている。
iWatchでは健康やフィットネスといったいくつかのアプリが中心となり、iPhoneのアクセサリという意味合いが強くなるかもしれない。iWatchがあれば、アラートなどの情報を見たり、「Siri」に話しかけたりするときに、iPhoneをポケットから取り出す必要がない。美しく湾曲したサファイアのタッチスクリーンと光沢のあるリストバンドを備えたiWatchが登場すれば、業界を一変させる製品というより、むしろファッションステートメントになるだろう。
確かにAppleには、よりファッションに敏感な企業になるという使命がある。同社はファッション業界を象徴する重要人物2人を幹部として迎えて入れている。Yves Saint Laurentの元最高経営責任者(CEO)であるPaul Deneve氏は、「特別なプロジェクト」に携わるため、バイスプレジデントとしてAppleに加わった。BurberryのCEOであるAngela Ahrendts氏は小売部門を統括し、オンラインストアと実店舗を運営する役目を任せられた。
こうしたファッションIQの上昇は、さまざまなエンターテインメント製品に応用される可能性がある。エンターテインメントもAppleが一変させたいと考えている分野の1つだ。同社は2014年、「Apple TV」を組み込んだスタイリッシュな大型4Kテレビや、セットトップボックス(STB)を発表するかもしれない。それらのテレビやSTBには、iOSエコシステムにアクセスでき、スクリーン上やボックス内のものを管理したり操作したりするときの苦痛を取り除くアプリが搭載されることも考えられる。
AppleはSiriや「Apple Maps」「iTunes」などの機能を自動車の車載ディスプレイに統合するため、自動車会社とも協力している。
Appleがメガネを発売するといううわさを耳にし始めても、驚いてはいけない。同社は「Oculus Rift」や「Google Glass」といった拡張現実(AR)デバイスに関連するヘッドアップディスプレイ(HUD)などのテクノロジの特許を多数保有している。Googleがウサギだとすれば、Appleの役回りは亀になるだろう。市場が発展するのを見守りながら、膨大な数の購入者を魅了する、より完成度の高いデバイスを時間をかけて開発するのがAppleだからだ。
はっきりしつつあるのは、Appleは別のヒット製品を生み出すことだけに注力しているのではない、ということだ。同社は、テクノロジが日々の生活に深く織り込まれた未来に向けて、長い間準備を進めてきた。それは、デジタルの未来における最高の部分を象徴する体験とブランドを作り出すことだ。
iPhone、タブレット、腕時計、メガネ、テレビ、センサ、ロボット、自動車は、Appleのソフトウェアとサービスの繁栄を実現するための手段である。同社の本質は、完全にデジタル化された時代を生きるための最高のブランドになることだ。そうした時代には、膨大な数のユーザーと、信号を収集して送信するその何十倍もの製品が接続されるようになる。
そうした目標は、「いつでもどこでもApple」とでも呼ぶべきものであり、一般の人々のテクノロジの利用方法や関わり方を変えるというSteve Jobs氏の目標を引き継いでいる。Jobs氏は2011年3月の「iPad 2」発表イベントで、「テクノロジだけでは不十分だということはAppleのDNAに書き込まれている。テクノロジをリベラルアーツや人間性と組み合わせることで、胸が躍るような結果が生まれる。これらのポストPC時代のデバイスほど、それに当てはまるものはない」と述べた。
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