2014年の展望

アップルの2014年--さらなる革新のために期待されること - (page 3)

Dan Farber (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2013年12月26日 07時30分

 Appleは最近のプロモーション動画の中で、製品開発に対する同社の信念について説明している。

 これだ。これこそが、大切なんだ。プロダクトがもたらす体験。人が何を感じるのか、ということ。生活をより良くするのか?存在する価値があるものなのか?私たちは、数少ない素晴らしいものだけに、膨大な時間を注ぎ込む。手がけるすべてのアイデアが、それを手にする人の暮らしを輝かせるまで。あなたは気づかないかもしれない。けれども、いつも感じとるはずだ。これが、私たちのサイン。それは、すべてを語る。

 朗々とした声で発せられるこれらの言葉からは、あまりにも不自然で気取りすぎという印象を受ける。しかしAppleは、あらゆるテクノロジ企業の中で全体的な製品体験に最も大きな投資を行い、ブランドと顧客の間に心理的なつながりを生み出している。

 Jobs氏は偉大なアイスホッケー選手Wayne Gretzkyの言葉も好んで引用していた。「Wayne Gretzkyの言葉に私の大好きなものがある。『私はパックがあった場所ではなく、パックがこれから行く場所に向かって滑る』。われわれはAppleでいつもそれを実践しようと努めてきた。まさに最初の最初からだ。これからもずっと続けるだろう」。Jobs氏は2007年1月のMacworld Conferenceでこのように述べた。

 今、テクノロジという名のパックは、高度にパーソナライズされたウェアラブルコンピューティングに向かって、勢いよく進んでいる。小売分野で存在感が高まり、インターネットに常時接続している人々が増加するなかで、Appleは、テクノロジを人間らしいものにする(より個人的で意識しないものにする)という同社のルーツと、より鋭敏なファッション感覚を組み合わせて、価格にそれほどこだわらない目の肥えた購入者と、その仲間に入りたい人々を引き付けようとしている。

 「iBeacon」や環境知能といった未来のAppleの世界では、ファッショナブルなウェアラブルスマートウォッチ、メガネ、スマートフォン、タブレット、テレビ、自動車インターフェース、衣服を使って、サーモスタットや照明、デジタルビデオレコーダー、自動車、心臓モニタ、決済、音楽、映画、そしてグローバルネットワークに接続されるものすべてを操作できるようになるかもしれない。iPhone、iPad、iWatchや、「iGlass3D」あるいは「iLens」に向かって、「Siri、車のドアの鍵を開けて、家まで送ってくれ。それから、サーモスタットの温度を17度まで下げて、ニュースを録画し、オーブンの電源を入れて190度に設定してほしい。あと、明日折り返し電話すると母に伝えてくれないか」と話しかける。あるいは、目の前にバーチャルな操作パッドを投影し、ハンドジェスチャーを使ってサーモスタットをリセットしたり、自動車に近づいているときにドアを開けたりするのだ。

 21世紀のOSになろうとしている企業はAppleだけではない。Googleをはじめ、Microsoftや、どこかのガレージや研究室で人知れず作業しているほかの企業も、他者のデジタル生活の基盤となるコンピューティングプラットフォームになることを目指して、競争を繰り広げている。

 これまでのところ、競合他社はAppleのブランドに付随する価値や利幅に匹敵するものを生み出せていない。市場シェアが10%のMacデスクトップやMacノートブックでさえも、PCカテゴリの競合の中でも大きな利益を生み出している。

 とはいえ、モバイル、ウェアラブル、拡張現実コンピューティングへの移行はまだ始まったばかりだ。それは新しい世界であり、市場を作りだして格好良さを決定するというAppleの支配が崩れる可能性もある。そうした理由から、Appleには、2014年に通常のアップグレードサイクル以上のものを提供し、熱心なファンが離れていくのを阻止しなければならない、というプレッシャーがかかっている。

Appleは、パックが向かうと考える場所へと向かって滑っている。それは、Appleのソフトウェア、ハードウェア、サービス、エコシステムがデジタルエイジ向けプレミアムプラットフォームとして提供するエリアだ。
Appleは、パックがこれから行くと考える場所へと向かって滑っている。それは、Appleのソフトウェア、ハードウェア、サービス、エコシステムがデジタルエイジ向けプレミアムプラットフォームとして提供するエリアだ。
提供:Dan Farber

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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