もう1つのスマートフォン戦争--互いを攻撃する「iPhone」「Android」ファンたちの心理 - (page 3)

Lynn La (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2013年11月28日 07時30分

 中にはファンボーイという呼び名を受け入れて、軽く受け流す人もいるかもしれない。しかし普通、その呼び名は侮辱と受け止められる。なぜなら、単に何かのファンというだけなら肯定的な意味合いがあるが、ファンボーイであることは、単に何かを好きなだけでなく、ほかのものに対して非理性的で敵対的な態度をとっていることも示唆するからだ。

対抗意識は二大勢力の間で生まれる

 テクノロジの世界では、ファンボーイはスマートフォンに特有のものではない。彼らはさまざまな業界に存在する。そして競争とは常に、大きな市場シェアを誇る上位2つのブランドに絞られるようだ。「Xbox」対「PlayStation」、ニコン対キヤノン、「Windows」対「Mac」などだ。市場にそのほかの競合企業が何社あろうと、対抗意識というものは、二大勢力が争っているときに最も顕著になる。結局のところ対象が2つだと、どちらの側に付くのかを決めるのが簡単だ。

 「それは善と悪のようなものだ。人間の脳は二元性を好む」(Nass氏)

 International Data Corpによると、世界のスマートフォンの91%には、Appleの「iOS」かGoogleのAndroidのいずれかのスマートフォンソフトウェアが搭載されているという。ハードウェアに関して言えば、Appleとサムスンが世界で最も大きな利益を上げているモバイルメーカー2社だ。

 しかしそうした大きな成功は、ブランド攻撃という形で、好ましくない注目もたくさん集めてしまう。Google検索で「iPhone sucks」(iPhoneは最低)、「Android sucks」(Androidは最低)と入力すると、それぞれ5430万件と5230万件の結果が返ってくる。「I Hate Samsung」(サムスンが嫌い)、「Apple sucks」(Appleは最低)というFacebookページは、それぞれ4000件近くの「Like」を獲得している。iphonessuck.comというウェブサイトや、「What I Hate About Android」(Androidの何が嫌いか)というTumblrページもある。もちろん、さまざまなミーム無数のこっけいな画像も出回っている。

iOSとAndroidは合計で、世界にあるスマートフォンの91%で稼働している
iOSとAndroidは合計で、世界にあるスマートフォンの91%で稼働している。
提供:Lynn La/CNET

 ジョージア大学の助教で、マーケティングにおける消費者学習と社会的行動を専門とするCandice Hollenbeck氏は、「大きなブランドは必ず批判にさらされる。そうしたブランドは支配力と影響力を持っているため、人々の注目が集まる」と述べた。

 企業を揶揄する人について、その個人的な理由をすべて知ることはできないが、「憎む人が憎しみを抱くようになる」理由を正確に説明する上で有益な、共通の特質がいくつか存在する。

ブランド攻撃に楽しみを見出す人たち

 スコットランドのグラスゴー大学の博士課程研究者であるLaurence Dessart氏は、ビジネスと経営を専門としている。Dessart氏はこの1年間、オンラインで広範な調査を実施し、サムスンやApple、Starbucksといった企業の悪口を積極的に言っている人々に、そのような活動をする理由を尋ねた。Dessart氏はこれまでに、個人のアイデンティティが大きな役割を果たしていることに気づいた。

 「あるブランドを憎む人々は、そのブランドが象徴するものと結びつけられたくないと考えている。それは、彼らが自分の内面に見出すものや、他人からこう見られたいという自分の姿とは調和しない」(Dessart氏)

 例えば、調査参加者がAppleに関して報告した問題点で最も多かったものの1つは、同社がプロプライエタリなソフトウェアとハードウェアを使用していることだ。それは、Appleが消費者を同社のエコシステムに囲い込むための手段と見なされている。

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