(編集部注:米CNETによる「iPhone 5s」のレビューを前編と後編の2回に分けて翻訳して公開します。前編は9月26日の公開を予定しています)
スマートフォンのプロセッサは今、幸せな時代を迎えている。数年前のラップトップやPCの状況に似て、毎年大きく処理速度が向上するのが普通になっている。「iPhone 5」は「iPhone 4S」と比べて2倍以上高速であるとされ、Appleの主張はあらゆるベンチマークで裏付けられているが、「iPhone 5s」とその新型A7プロセッサもまた、iPhone 5とその「A6」プロセッサと比べて、少なくとも2倍は高速であるように見える。
その数字は素晴らしいが、これは実際には何を意味するのだろうか。残念ながら、あまり分かりやすいとは言えない。iPhone 5s、「iPhone 5c」、iPhone 5の起動時間は、あまり変わらない。5sでは26.3秒なのに対し、5cでは31.7秒だった(それに、そもそもスマートフォンを起動することなどあまりないはずだ)。ゲームやアプリケーションの読み込みは高速だし、動作もスムーズだが、2012年時点のiPhone 5もそう感じられたし、iPhone 5cについても、通常のスマートフォンの使い方では、今でも十分な速度があるように感じる。
iPhone 5sと、その高速でグラフィックに強いA7プロセッサを最大限に活用できるタイプのゲームやアプリケーションは、このレビューの執筆時点ではまだ登場していないが、今後登場すると予想される。ひょっとすると、4インチディスプレイで人間が見て取ることのできる違いには、限界があるのかもしれないと筆者は考えている。
では、iPhone 5sは、サムスンの「GALAXY S4」やHTCの「One」などの他のスマートフォンよりも高速だろうか?われわれが5sに対して行ったベンチマーク結果から考えれば、答えはイエスだ。そして、どれだけ違うかは、テストの内容によって違っている。Linpackのテストでは、iPhone 5sはより高速であり、iPhone 5cの約3倍速くなっている。最近、64ビットのテストが可能になるアップデートが行われたGeekbench 3では、iPhone 5cのA6プロセッサに対して、2倍近い性能が出ている。
ただし、iPhone 5sとA7プロセッサの64ビット処理を行う潜在能力は、今のところ概して理論的なものにすぎない。これは、スマートフォンによるデスクトップ的な体験への道を開くかもしれないし、将来的には「Mac OS X」と「iOS」の統合を可能にするかもしれない。
5sに組み込まれているAppleの主要なアプリは64ビットに最適化されているが、そのほとんどは、特にその恩恵を受けているとは言えない(ただし、カメラはその例外だ)。A7プロセッサが、どのくらいiPhone 5sをよいものにしているかは、仮にそのスピードを感じ取れたとしても、よくわからない。まだ、キラーアプリは登場していないように思える。
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