企業ならではの悩みとして、ソーシャルメディア担当者の引き継ぎがある。NHKの倉又氏は、NHKの番組情報などを発信する「NHK_onair」(@NHK_onair)を担当していたが、部署の異動にともない3月いっぱいでアカウントの更新を停止した。同アカウントには11万を超えるフォロワーがいた。
これとは逆に、TBSの山脇氏は部署を異動しても公式アカウントを運用し続けているという。「異動になった際に、誰がアカウントを更新するかを話し合ったが、前の部署からは『できないから山脇さんが続けてくれ』と言われた。なので、僕の担当するアカウントは僕とともに移動している。これもどこかで整理しないといけないが、やはり集まったフォロワーを簡単には消せない」(山脇氏)。
このようにソーシャルメディアの引き継ぎについては、(1)部署内で交代する、(2)従来の担当者が異動後も継続する、という2択で考えられることが多い。「これまでの経験だと人数が多いと引き継ぎはできるが運用はうまくいかない。しかし、人数を減らすと今度は引き継ぎができない。このジレンマをどうするかが問題」(NHK・倉又氏)。
こうした議論がある中で、スカパーJSATが選んだのは第3者による運用だ。当初は1人でTwitterアカウントを運用していたという阿部氏だが「担当外の相談にも対応するため1人カスタマーセンター状態になっていた。土日も対応していたのでボロボロになってしまい、これ以上続けると倒れると思った」と当時の苦労を語る。そこで5月末からは外部のライターと契約し、スカパー!の各ジャンルの公式アカウントの運用を任せることにしたという。
ソーシャルメディアは誰が運用するべきか――この議論は広がりをみせ、番組に携わるすべての人間がソーシャルメディア担当者としての素養を身につけるべきか、またそういった人材を採用すべきかという話にまでおよんだ。
NHKの倉又氏は「理想を言えばそういう採用をしていくべきだが、現実には全然そんなことにはなっていない。新たに入ってきた人の中で素質がありそうな人については伸ばしてあげる方向かなという気はしている」とコメント。続けて「いきなり仕事だからとTwitterやFacebookを始めるのではなく、日ごろから書き手や読み手としてソーシャルメディアに慣れているのは最低条件だと思う」と指摘した。
また、スカパーJSATの阿部氏は「社内でもいろいろな担当者がアカウントを立ち上げているが、最初はちゃんと更新していても途中で飽きて辞めてしまう。キャンペーンではなく、毎日やるものだということを理解してもらえないことが多い」と社内でのソーシャルメディア運用の難しさを語った。
番組プロデューサーこそソーシャルメディアのアカウントを運用すべき、と持論を展開したのがTBSの山脇氏だ。先にも述べたように、テレビ局にとって放送時間以外にいかに視聴者と接点を作り、番組に興味を持ってもらえるかが重要になる。そのためには「テレビ以外のところで常に裏情報を出していく必要がある」(山脇氏)とし、発信する情報内容をある程度コントロールできる権限を持つ番組プロデューサーなどが積極的にソーシャルメディアを運用するべきだと強調した。
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