2013年の展望

2013年のテクノロジ業界を占う--5つの注目ポイント - (page 4)

Jim Kerstetter (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル 編集部2013年01月04日 07時30分

 筆者の予想では、2013年にこうした対立は少なくともさらに3回はあるだろう。Facebookは今では株式公開企業だ。ウォール街は成長を期待しており、またユーザー数が10億人を超えた以上は、そこには必ずや数字を期待する動きが伴う。したがってFacebookはこれからも、利益を増やそうとする中でさまざまな調整を行い、時にはユーザーを怒らせるだろう。Facebookがそうすべきでない理由があるだろうか。ユーザーは何度でも戻ってくるのだから。

5. 引き続き悩ましい特許問題に一筋の光明

 筆者は12月末に執筆した2012年の振り返り記事の中で、2012年は特許が大きな話題になったことに触れた。そして12月19日にはIntellectual VenturesとRPX Corporationに加えてApple、Google、Microsoftで組織されたコンソーシアムがKodakの画像処理特許ポートフォリオを購入するため、5億2500万ドルを費やすに至った経緯に関する記事の執筆に加わった。ここで読者の皆さんは、ある種の傾向が見て取れるだろうか。

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 2013年に何かが変わると期待できる根拠はほとんどない。Appleとサムスンは、2014年には別の裁判が予定されている。特許不実施主体(NPE)が関わる訴訟(NPEというのはパテントトロールを表す良い言葉だ)は増え続け、大手の技術企業は特許ポートフォリオ獲得に多額の資金を引き続き投入するだろう。この状況が変わることを示す兆候はない。まもなく退任する米国特許商標庁(USPTO)の長官は、こうしたすべての訴訟についてシステムがうまく機能している証左だとすら考えている。

 特許システムに異議を唱え、どう改善すべきかを言うのは簡単だ。しかし、現実を直視しよう。特許システムは2011年に見直されたばかりである。何年もの交渉を重ねて法制化にたどり着いた頃には、解決策が骨抜きにされた妥協の産物となり、あまり何も変わらなかった。特許の改革に取り組む人たちが直面している難題は比較的シンプルなものだ。技術に「双子の姉妹」がいるのである。片方はハイテク系で、もう一方がバイオテクノロジ/薬剤系である。ハイテク側では、特許権者が特許にあぐらをかいて何もしないというのは、あまり筋が通らない。

 しかし、これは、バイオテクノロジ側では完全に筋が通った話となる。ハイテク側の人間は3年ももたない製品サイクルに追いつくことに必死で忘れてしまいがちだが、バイオテクノロジの製品サイクルは何十年というサイクルでまわっている。発明について規制当局からの承認をとりつけ、テストを実施するというのは時間も費用も必要となるプロセスだ。特許は、その大きな投資に対する見返りとして多くの場合において期待される存在なのである。

 では、ソフトウェアやインターネットに関する概念は特許の対象外とするべきだろうか。こうした考えも面白いが、だからといって、すでに付与されたたくさんのソフトウェアやインターネットの特許を無効にするのだろうか。何はともあれ、規制の変更には年月を要する。

 一方で、技術の自由を信奉する人が喜ぶマーケットソリューションがある。Kodakが特許の売却を発表した際に、RPXという会社に関する言及があったのを気付いた読者もいるかもしれない。サンフランシスコに拠点を置くRPXは特許のクリアリングハウスとして機能することを目指している。Intellectual Venturesと同様に特許を買い集めるが、Intellectual Venturesと違うのは、訴訟を起こさないことを約束している点である。企業はRPXと会員契約を結び、規模や収入に応じて会費を支払う。大企業は小規模な企業よりも多くの金額を払うことになるが、これは公平というものだろう。

 2013年の末までには、RPXなどの企業が技術特許の現状に健全さをもたらしてくれると期待したい。これは技術にとっては、古くからある課題である。解決策が求められるが、政府に解決してもらおうと期待してはならない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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