IDCによると、iPhoneは発売以来、8500万台以上が販売されているという。また、2012年第2四半期の販売台数は2600万台で、世界市場におけるシェアは16.9%だという。Appleはスマートフォンの世界市場で最大のシェアを誇っているわけではないが(IDCによると、首位は68.1%のシェアを誇るGoogleの「Android」だという)、それでもサムスンなどのライバルに比べて、巨額の利益を得ている。
iPadに関して言えば、状況はさらに明るい。Gartnerによると、AppleはライバルであるAndroidタブレットの2倍以上のシェアを誇っているという。Gartnerは、Appleが2012年を通して7300万台のiPadを販売すると予測している。それが実現すれば、シェアは61.4%になる。タブレットはAppleが作り出した市場区分ではないというのに(ただし、タブレットの重要度を高め、広く利益を上げられる市場にしたのは間違いなくAppleだ)。
しかし、新世紀における2度目の10年で、Appleはより激しい競争に直面するだろう。Googleはパートナーを武装させ、モバイル分野におけるAppleの勢いを弱めようとしてきた。iPad miniの登場がうわさされる中で、Googleは広告掲載を拒んできた同社ホームページにおいて、同社の「Nexus 7」タブレットを宣伝してきた。Amazonは新しい「Kindle Fire」タブレットを発表しようとしている。そして今、大御所のMicrosoftが、パートナーとマーケティング装置から成る艦隊を引き連れて、この分野に参入しようとしている。
今のAppleがかつてのAppleではないのと同様に、今のMicrosoftは昔と同じMicrosoftではない。Vanity FairはMicrosoftを特集した記事の中で、同社が切り抜けてきた期間を「失われた10年」と表現したが、まさにその通りだ。独りよがりな中年になってしまったMicrosoftに、かつてNetscapeを破壊した恐ろしい企業の面影はほとんどなくなっていた。Microsoftは、中核となるOSのアップデートに関してそのペースの遅さを嘲笑されてきたが(もっともなことだ)、パーソナルテクノロジにおいて最も重要で急速に成長している2つの市場、つまりタブレットとスマートフォンに関して言えば、ジョークの域に達していた。さらに悪いことに、この「大モバイル戦争」の最終的な勝者について取り上げた2010年の解説記事からも分かるように、同社は話題にされることもなくなっていた。
しかし、粘り強さはこれまでMicrosoftに良い結果をもたらしてきた特性である。同社は常に潤沢な資金を持ち、ある製品で何度失敗を繰り返してもそれに固執し続けることで勝利を収めてきた企業だった。成功までに何年もの期間を要した「Xbox」もその一例だ。歴史は繰り返しているのかもしれない。無能さを風刺されてきたMicrosoftは、携帯電話とタブレット、およびデスクトップ向けにOSを生まれ変わらせることでそれに応え、これまでのところ、そのOSはテクノロジ業界のエリートたちによるお決まりの迫害には遭っていない。これは何年もの間、期待値が下がっていたことが作用しているだけかもしれない。またMicrosoftは非常に長い間、リーダーシップに関する議論からは外されており、Appleの「iOS」プラットフォームやGoogleのAndroidに劣る者という立場から得をすることもある。
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