AppleのOS Xの最新バージョンである「Mountain Lion」では、「iOS」に搭載されている数多くの機能が使えるようになるだけでなく、新たなセキュリティ機能とともに、さらなるユーザーエクスペリエンスの統合も実現されている。
Appleの製品について語る際に「エコシステム」という表現が出てくるのには、ちゃんとした理由がある。
実際のところ同社はここ数年、どのApple製品でも同じユーザーエクスペリエンスが得られるという構想の実現に向けて歩を進めてきた。そして今では、「iPad」や「iPhone」「iPod touch」間でのユーザーエクスペリエンスがiOSによって統合され、MacもOS Xの最新バージョンによってさらなる統合への道を突き進もうとしている。
米国時間2月16日にリリースされた「Mountain Lion」(OS X 10.8)では、「iOS 5」に搭載されている数多くの機能が取り込まれている。「メモ」や「リマインダー」「メッセージ」といった新機能は純粋な機能拡張である一方、「AirPlayミラーリング」や「iCloud」、統合ゲームサービスである「Game Center」といった機能は、Appleというひとつの宇宙にコンテンツへの情熱を目一杯注ぎ込んだものとなっている。また、Mountain Lionが既存機能の焼き直しであるなどと考えてはいけない。マルウェア対策の最前線に位置する新たなセキュリティ機能も搭載されているのである。
今回リリースされたMountain Lionは開発者向けのプレビュー版であり、(2012年夏にリリース予定の)正式なバージョンにはほど遠いものであるため、CNETとしての公式なレビュー記事やベンチマーク記事はまだ執筆できる段階にない。とは言うものの、このプレビュー版を数日間試用する機会に恵まれたため、本記事において注目すべき新機能を10個選び出すとともに、そのユーザーエクスペリエンスについても解説したい。5年前にiPhoneが登場して以来、iPhoneやiOSに関する記事を執筆してきた筆者にとって、AppleがMountain Lionで実現しようとしていることは明らかである。実際のところ、Mountain Lionを搭載したMacBook Airのスイッチを入れた瞬間に、ある種の親しみすら感じることができたのだ。
Mountain Lionのプレビュー版に関する本記事を読み進めるにあたっては、記事内で描写しているインターフェースが変更になる場合もあるという点を忘れないでほしい。
AppleのMac OS X 次期バージョン:Mountain LioniMessageは華々しさや派手さこそないものの、iOS 5で導入された素晴らしい機能の1つである。これによって、連絡を取り合うための手段が追加されただけでなく、携帯電話会社のサービスを利用しないが故に、携帯電話代を気にすることなくテキストや写真が送信できるという利点も生み出される。このことを歓迎しない人など、いるのだろうか?
もっとも、携帯電話料金を気にせずにメッセージのやり取りができるということよりも、他のことが気になるという人もいるだろう。しかし安心してほしい。Mountain Lionのメッセージアプリケーションの使い勝手は、iMessageアプリケーションと同じくらい申し分のないものとなっている。「配信済み」「開封済み」といった表示や、メッセージの暗号化、マルチメディアや連絡先の送受信、相手がメッセージ入力中であることを知らせるインジケータなど、iMessageアプリケーションと同じ機能が搭載されているのである。また、iPhoneの電話番号や、電子メールアドレス(相手がiOS 5搭載機器やMountain Lion搭載機器を使用している必要がある)宛てにメッセージを送ったり、気の合う人たちに向けて同時にメッセージを送ることもできる。さらにiCloudのおかげで、チャットのログはすべてのApple機器にプッシュされるようになっている。
iChatアプリケーションはメッセージアプリケーションによって置き換えられるため、Apple IDの取得が必要となる。そのインターフェースはiPhoneのものとほとんど同じだが、最近行ったチャットのリストが画面左側に表示されるとともに、より長い会話が表示できるようになっている。また、メッセージアプリケーションからFaceTimeを起動できるようになっているのも嬉しい点だ。ただ、(iPhoneのように)ボタン1つで会話中に写真を直接貼り付けられるようになっていない点は少し残念だ。確かに、デスクトップ上で写真をオープンし、チャットウィンドウにドラッグすることはできるが、少しばかり操作が煩雑になってしまう。この点については、Mountain Lionの最終バージョンで改善されることを期待しよう。
リマインダーもまた、iOS 5から取り込まれたアプリケーションである。しかも、さらに便利な機能が追加されている。例を挙げると、To Doリストを作成したり、予定した時間に通知を行わせるように設定したり、予定情報をすべてのApple機器にプッシュできるようになっているのである。Macの大きな画面のおかげで、リマインダーを検索するための検索フィールドも配置されており、カレンダーで特定の日のリマインダーを表示させることもできる。
ただ、iOS 5に搭載されている、タスクにジオフェンスを設定する機能だけは取り込まれていない。つまり、「退社時に家に電話する」というリマインダーを設定しておき、オフィスを出たタイミングで通知を受け取ることはできないわけだ。この機能が搭載されていなくても大きな影響はないものの、念のためにここで指摘しておくことにした。
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