Walter Isaacson氏によるSteve Jobs氏公認伝記は大きな期待を集め、米国時間10月24日に発売された。米CNETは、伝記の作成や、今は亡きApple共同創設者と過ごした時間について、Isaacson氏に話を聞いた。
伝記はJobs氏の生涯を最初から最後まで時系列で綴っており、Isaacson氏とJobs氏の約40回のインタビューで構成されている。Jobs氏はこのプロジェクトを承認し、Isaacson氏に話を持ちかけた。その理由として、人々の話を引き出すIsaacson氏の能力を挙げている。
Jobs氏がIsaacson氏に最初に伝記の執筆を依頼したとき、Isaacson氏は断った。Jobs氏が病気を患っており、自分の個人的な物語を早く世に出さなければと焦っていたことをIsaacson氏は知らなかった。
その伝記「スティーブ・ジョブズ」は2011年に先行予約の受け付けが開始された後、すぐにベストセラーランキングの上位に踊り出た。当初の発売予定は2012年だったが、2度繰り上げられた。一方、Jobs氏の健康状態が悪化し、2011年1月に医療休暇でAppleを離れ、同年はほとんど公の場に姿を見せなかったことも、Isaacson氏の伝記に対する関心をさらにかき立てた。Jobs氏は10月、56歳でこの世を去っている。
Isaacson氏は、ワシントンDCに拠点を置くAspen Instituteのプレジデント兼最高経営責任者(CEO)で、Teach for Americaの会長も務める。過去にCNNの会長兼CEOを務めており、その前はTimeのマネージングエディターだった。Isaacson氏は「アインシュタイン その生涯と宇宙」「Benjamin Franklin: An American Life」「キッシンジャー―世界をデザインした男」をはじめ、複数の伝記を執筆した。Isaacson氏が生存する人物から承認を得て伝記を書いたのは、今回のJobs氏が初めてだ。
筆者は10月24日、Jobs氏と過ごした時間や伝記の執筆について、Isaacson氏から電話で話を聞く機会を得た。Jobs氏と過ごした時間についてのIsaacson氏の感想や、Jobs氏に関して一部の人々が理解していないとIsaacson氏が考えていること、そして実際のところAppleはテレビセットの提供にどれだけ近づいているのかなど、Isaacson氏とのインタビューを書き起こして編集したものを以下に掲載する。
--Jobs氏は、読者がこの伝記から受け取る印象を形作ろうとしていましたか。もししたのであれば、それはどの程度だったのでしょうか。Jobs氏はすべてをさらけ出すことを望んでいたと、伝記の最初に書かれていることは知っています。この本がどのように受け取られるのかについて、Jobs氏はどれくらい知りたがっていたのでしょうか。
Isaacson氏:わたしが十分に理解できないのは、彼がなぜあれほどオープンな姿勢で、何もコントロールするつもりはないと繰り返し述べたのか、ということです。Steveは、いつもは自身のプライバシーとイメージをコントロールすることに大きな関心を抱いていました。インタビューが進むにつれて、彼はどんどん積極的に話すようになりました。コントロールの問題はずっと避けていましたが、唯一の例外が伝記の表紙でした。美しくないバージョンの表紙を見たとき、彼はかなり機嫌を損ねて、「人々がこの本を読むかどうかは分からないが、表紙は見るだろう」と言いました。
--あなたはEinsteinやBenjamin Franklinといった歴史上の偉大な人物についても伝記を執筆しています。その中でJobs氏はどれくらいの位置づけなのでしょうか。
Isaacson氏:Steveが自身の広告で述べているように、彼らは皆、他と違う考え方(Think different)をする能力を備えています。Einsteinと同じ量子軌道にいるわけではありませんが、聡明で独創的な人々には共通の特徴があります。普通の人とは違う方法で世界を見るのです。宇宙に影響を及ぼしたいと考えるなら、まともでないことをやり、厳しい要求をすることもときには必要です。表面的な優しさというのは、丁寧ではあっても、物事を変えることはできません。それこそが、極めて聡明なBill Gates氏のように非常に聡明な人々の特徴だと思います。しかし、Steveがもたらした特徴は、芸術や美や感情という観念をテクノロジと結びつけることでした。
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