「FRAND」特許とアップルの訴訟戦略--「Android」陣営との戦い方の違い - (page 2)

Roger Cheng (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2012年02月08日 07時30分

 FRANDで問題となるのは、具体的に何が合理的なのかを判断することだ。FRANDの概念は、標準の共有を求めるすべての企業に対して、同一の料金が請求される必要があるというものだ。企業には自らの特許から売り上げを生み出す権利があるが、企業がどれだけの金額を得られるべきなのか、またそうした料金をどれだけ一般化できるのかについてはさまざまな議論がある。結果として、「合理的」の標準的な定義は実際のところ存在しない。

 「合理的という言葉は聞こえはいい。だが、何が『合理的』なのかを定義するものは実際には存在しない」(Kesslen氏)

 このあいまいな領域こそ、Appleが十分に利用してきたものだ。Appleは米国時間2月3日、Motorola Mobilityに対してFRAND条件の主張を展開して、ドイツにおけるApple製品販売差し止め命令の執行の一時停止を獲得した。Appleが3G UMTSに関連する必須特許を違法に侵害したことがドイツの裁判所で認められたことで、Motorolaは1月、販売差し止め命令を勝ち取っていた。Appleの主張によると、同社は合意に達するための努力を続けていたが、Motorolaが交渉条件に関して公平に行動する義務に背いたという。

 Apple関係者は、「Motorolaは7年前にこの特許を業界標準であると宣言したにもかかわらず、同特許のライセンスを合理的な条件でAppleに提供することを再三にわたって拒んだため、Appleは今回の判決に控訴した」と述べた。

 Motorolaは、2007年に公平なライセンス条件をAppleに提示し、3年間の契約を締結しようと試みたが、成果はほとんどなかったと主張した。

 しかし、Appleの意見はかなり強力なものだ。AppleにはFRANDの下でライセンス契約を締結する権利があると主張しただけで、Motorolaが抗議したにもかかわらず、販売差し止め命令の執行がすぐに停止された。

 Motorola関係者は、「Appleは、誠意を持って交渉することを拒むとともに、Androidに対する攻撃的な訴訟活動を繰り広げていることから、Motorola Mobilityは自社の権利と特許ポートフォリオの行使を求めるしかほかに手段がなかった」と述べた。Motorolaは、訴訟を起こすよりもライセンスを提供したいという同社の姿勢に変わりはないと付け加えた。

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