AppleとAndroid陣営各社は特許を使った攻撃について、異なる戦略を選択してきた。Motorolaやサムスンなどの企業は、業界標準の特許を使ってAppleを攻めている。これらは極めて重要な知的財産ではあるが、AppleによるFRANDの主張にさらされる可能性も残る。
Microsoftなどの企業に雇われて仕事をしてきた経験を持ち、「Foss Patents」ブログを運営する法律コンサルタントのFlorian Mueller氏は、AppleがAndroid企業に対する訴訟で必須特許を引き合いに出したことはないように思えると述べた。
それらの特許は極めて重要なので、Appleに不利となるより強力な論拠を生じさせる、というのがそれをしない理由だ。Appleにとって、FRANDは単なる引き延ばし戦術にすぎないのかもしれない。
FRAND特許は、誰もが公平に利用できる権利を得られるはずのテクノロジに基づいているため、それらを特許訴訟で使うことには多くの危険が伴う。
「Android陣営はそうした種類の特許を利用して、相互確証破壊(一方が攻撃すると、もう一方の報復によって双方が存続不可能な損害を被る)状態に達することを望んでいるが、この戦略には非常に問題が多い。それがもたらす余波は、現在行われているモバイル特許の争いの範囲をはるかに超えて広がるだろう」(Mueller氏)
例えば、サムスンは訴訟で必須特許を積極的に利用している。しかし、欧州連合(EU)は独占禁止の観点からサムスンの最近の活動に目を光らせており、同社は墓穴を掘ることになるかもしれない。EUの欧州委員会(EC)は、サムスンが競争抑圧のために不当な料金を請求、または特許の利用を妨げているかどうかについて、事実関係の調査に乗り出している。
サムスンに関するECの決定は、訴訟で特許が使われる方法に連鎖的な反応をもたらす可能性がある。FRANDは業界の利益のために定められた。しかし、そのガイドラインの対象となる必須特許が武器として使われることが増えており、FRANDのもともとの意図と矛盾している。Mueller氏によると、実際のところFRANDはつつましい範囲での特許権の行使を認めているが、高圧的なアプローチは許可されないという。
「FRAND特許は素晴らしいパーキングメーターだが、銃として使用するためのものではない」(Mueller氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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