ウェブ上のゲームというのは特に目新しいものではないが、2012年には大きく違ったものに見えるだろう。原始的なグラフィックスを使用したり、Adobe Systemsの「Flash Player」に依存したりするのではなく、ウェブゲームの見た目はゲームコンソールで見慣れているものに近づいていく。
ウェブは文書の媒体として成長した。ブラウザのJavaScriptのパフォーマンスが急激に向上し、JavaScriptプログラミングツールが進化し、Scalable Vector Graphics(SVG)やCascading Style Sheets(CSS)、「Canvas」などの機能が2Dグラフィックスを向上させるにつれて、ウェブのインタラクティブ性は徐々に高まってきた。現在、Facebookや「Google Docs」のような複雑なウェブアプリが当たり前の存在になり、JavaScriptプログラマーは引く手あまたになっている。
しかし、より低レベルのCおよびC++言語でのプログラムに精通した新しいタイプのウェブ開発者たちの流入で、状況は変わりつつある。こうした開発者は、高度な3Dグラフィクスや強力な物理エンジンでコンソール向けゲームを開発するプログラマーであり、スピードボートが透明で景色を反射する水しぶきを上げながら波をかきわけて進むようなゲームを開発している。
そんな未来を実現するため、ハードウェアアクセラレーションを利用する2つのテクノロジがしのぎを削っている。1つはWebGLだ。WebGLはMozilla Foundationで誕生し、Khronos Groupによって標準化された3Dグラフィックスインターフェースで、現在はFirefoxとChrome、Operaに組み込まれている。もう1つは「Native Client」だ。Native ClientはChrome専用のテクノロジで、元々CおよびC++で記述されたゲームを調整して実行することができる。WebGLの方がウェブの世界に溶け込んでおり、幅広い支持を得ているが、同テクノロジはJavaScriptと結びついている。Native Client(NaCl)はGoogle以外のブラウザメーカーの支持をまだ得られていない。
大きな助けとなるであろうテクノロジはほかにもある。先ごろ完成した、高速通信のための「WebSocket」や、マルチタスキングを改善する「Web Workers」だ。
これらのテクノロジはいずれモバイル分野にも広まっていくだろうが、2012年の動きは小幅にとどまると筆者は見ている。とはいえ、モバイル上のウェブアプリとネイティブアプリの競争を激化させるきっかけになるはずだ。
筆者は、いずれか1つのテクノロジが他に対して勝利を収めることはないと考えている(そういう意味では、Flash PlayerがPCから消えることもないだろう。新しい「Flash Player 11」も新たにハードウェアアクセラレーションを利用する3Dテクノロジに対応している)。しかし、WebGLとNaClは、今日のブラウザを紙面のように静的なものに感じさせてしまうものになると思う。
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