3年以上前に、Googleのブラウザが基本機能のみを備えたベータプロジェクトとして初登場したとき、人々はこのブラウザを笑った。今はそんな人はいない。
2012年には、Net ApplicationsのブラウザランキングでChromeがMozillaのFirefoxを抜いて2位に浮上するだろう。StatCounterの採点ではChromeは既に2位になっているが、StatCounterはユーザー数ではなく、ページビューを集計する。筆者はユーザー数の方が競争の状況を正確に反映すると思う。
MozillaはFirefoxから複雑さを取り除いて、軽量化と高速化を実現し、メモリ占有率を下げようと懸命に努力している。だが、Chromeは着実に成長を続けており、Googleは新CEOのLarry Page氏の下で、Chromeを新部門の1つにした。
Chromeは、Googleのテクノロジを世界に提供する重要な手段だ。中でも注目すべきは「SPDY」や「TLS False Start」、「WebP」、そしてJavaScriptの代替を目指す「Dart」などのウェブアクセラレーションを活用するアイデアだ。Chromeが広く使用されることで、Googleは標準策定のテーブルにつくことができる。ウェブをリッチなプログラミング基盤にすることを目指す同社にとって、それは極めて重要なことだ。
Chromeの台頭には、Googleがウェブを細分化してしまうリスクが伴う。同社はブラウザのアイデアを定着させることに関して、一定の成功を収めてきた。例えば、Mozillaはページの読み込みを高速化するSPDYに関心を抱いており、Amazonの「Silk」は同テクノロジを既に利用している。しかし、Googleは開発者に対して、「Chrome Web Store」経由で配布可能な、Chromeと「Chrome OS」専用の拡張機能やウェブアプリを開発することを奨励している。Chrome専用のウェブというのは、IE6が支配していた古き悪しき時代を思い出させる。当時、ウェブ標準に準拠して記述することはあまり重要なことではなかった。
筆者が2012年に起こらないと考えているのは、Googleが2011年11月に終了したMozillaとの長年にわたる検索パートナーシップを更新せずに、Mozillaの最大の後援者であることをやめることだ(編集部注:Mozillaは米国時間12月20日、Googleとの新しい3年間の契約を締結したことを発表した)。
そのパートナーシップのおかげで、Firefoxの検索ボックスを使う人々がGoogleの検索エンジンにトラフィックを送信してくれる。そこでユーザーが目にした検索広告をクリックすると、広告主がGoogleに報酬を支払う。そして、Googleはその売り上げの一部をMozillaに還元する。
Googleがこのパートナーシップを解消することで、Firefoxに大きなダメージを与えられるのは事実だが、その場合、MozillaはMicrosoftの「Bing」と提携することで売り上げを維持できるだろう。しかし、筆者はGoogleがMozillaと手を切るは思わない。
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