第一に、MozillaとGoogleには違いはあるものの、いずれもより良いウェブの構築に情熱的な関心を抱いている。Chromeの目標はライバルのブラウザを打ち負かすことではなく、ウェブを改善することだ。その点において、Mozillaは敵というよりも同志である。
第二に、Mozillaに年間数千万ドルを支払うのはGoogleにとって些細なことだ。また、Googleは元々Mozillaのおかげで発生した検索広告の売り上げを一部保持することができる。
最後に(おそらく重要度が最も低いというわけではないが)、Mozillaを見捨てるとGoogleは意地悪な巨大企業という印象を与えてしまう。独占禁止法規制当局と常に争っている現状を考えると、そうしたイメージは避けた方がいい。GoogleとMozillaが取り決めを大幅に修正することはあるかもしれないが、袂を分かつことはないだろう。
Chromeはオープンソースの「WebKit」ブラウザエンジンプロジェクトをベースにしている。Androidに搭載されている名称のないブラウザも同様だ。2012年にAndroidブラウザはChromeのブランド名を冠することになるだろう。
AndroidのブラウザはWebKitをベースにしているが、Chromeとは別に開発されてきた。Googleは現在、プログラミング作業の統合に再び取り組んでおり、Androidのブラウザは以前ほど孤立した存在ではなくなっている。Googleは互換性要件を満たすことがChromeブランドの約束の一部だと明らかに感じているが、プログラミング作業の統合により、Googleはそれを容易に達成できるようになるはずだ。
統合が実現すれば、「Mac OS X」と「iOS」の両方に「Safari」を提供しているAppleに肩を並べることになる。ChromeはGoogleの最も重要なブランドの1つだが、同社はそれに見合った利益をまだ得られていない。
ChromeがAndroid携帯電話およびタブレットに搭載される前に、筆者が実現を期待しているのは同期機能だ。現在でも、Chromeは複数のマシン間で同一のブックマークやパスワード、閲覧履歴を維持することに長けている。ただしAndroidに移ると、Chromeユーザーはそれらをすべて失ってしまう。Androidのブラウザが孤立していることは、複数の製品間でシームレスな接続を提供して、ウェブ上の同社の領域にいる全ユーザーを絶えず幸せにするというGoogleの野望にそぐわない。
モバイルブラウジングの重要性は着実に増している。モバイルの使用の成長率がPCのそれを上回る状況が続くだろう。ウェブ開発者は後れを取ってはならない。また、タブレットが多くの点でスマートフォンよりもPCに近くなっていることを認識するのも重要だ。
ただ、「iPad」がタブレット市場を支配していることや、「iPhone」ユーザーがオンラインサービスをより頻繁に利用すると思われることから、2012年もiOSが支配的なモバイルブラウザの座を維持するだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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