この問題の原因の1つは、Google TVを採用した企業が、競合他社の製品との差別化にさらに苦労する可能性がある、という不安なのかもしれない。もちろんすべてのHDテレビが同じように作られているわけではないが、消費者向け電子製品企業は、PC企業と同じ運命を辿るまいと強く決意しているようだ。PCメーカーは、業界における標準と相互運用性を享受することと引き替えに、IntelとMicrosoftによる大規模な製品革新のリリーススケジュールにほぼ完全に依存するようになってしまった。
これらの企業の一部は、貴重なシェアを握ることでマーケティング面や広告面での利益を得られる可能性があると考えているかもしれないが、その考えについては誰も言及しなかった。メディア業界の幹部陣がGoogle TVに対して抱いている明白な不安の1つは、広告分野における影響力が従来のテレビから(さらに)シフトして、Googleのオンラインでの主な収入源になってしまうのではないか、ということだ。Googleと違って広告という副業に従事していないテクノロジ企業の方が、広告製品のパートナーとして付き合いやすいのかもしれない。
以上のような事情から、Google TVは今も大躍進の瞬間を待ち続けている。少なくともGoogleは、これほどの年月が経過したにもかかわらず、誰もテレビとインターネットを融合させた正しいインターフェースを発見していないようだという事実に慰めを見いだすことができる。実を言うと、Googleとテレビメーカー各社が追求しているアプローチは基本設計という点でそれほど違わない。
電話会社とワイヤレスキャリアは何年も前から、インターネットが将来的にモバイルデバイス上で大きな存在になることを分かっていた。しかし多くのケースで、それらの企業は独自にソフトウェアを開発するという道を選んだり、SymbianやMicrosoftといった代替的な選択肢を受け入れたりした。そして、一部の企業はソフトウェア開発に熱中したが、うまくいかなかった。その後、Appleによって電話会社やワイヤレスキャリアが意に反した行動を取ることを余儀なくされ、Googleが高品質な製品を提供するようになるまで、そうした状況は変わらなかった。
いつかテレビ業界にも同じような日が訪れるかもしれない。とはいえ、ソニーやGoogle TVパートナーであるLogitechのブースの様子をうかがうために多くの人が集まったのは事実だが、Google TVはまだ携帯電話業界のような切迫感を生み出すには至っていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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