Electronic Entertainment Expo(E3)から見たゲーム業界の変遷を振り返る第4回として、2004年から2006年までを紹介する。
単刀直入に言おう。E3 2004において、任天堂プレスカンファレンスのラスト数分に匹敵するビッグイベントはなかった、と。確かに、「ニンテンドーDS」のお披露目は重大発表であった。任天堂が携帯機市場をめぐって、ソニーの「プレイステーション・ポータブル(PSP)」(と「メタルギア アシッド」のようなタイトル)相手に携帯機の覇権を争うのは難しいとみられたが、任天堂はカンファレンスの見せ場を最後まで温存していた。ステージを降りる際、Nintendo of America社長のReggie Fils-Aime氏は聴衆に対し、そのまま残って「ニンテンドーゲームキューブ」用に開発中の新タイトルを見るように告げた。照明が落ちると、夕焼けをバックに迫る敵の群れが現れ、おなじみの音楽が流れ始める。男がひとり馬に乗っており、カメラがパンしてリンクの顔を映すと、聴衆は瞬く間にお祭り騒ぎとなった。ゼルダの伝説にまた新たな作品が加わった瞬間であったが、これは「ゼルダの伝説 風のタクト」とは(少なくともグラフィック面で)まったく異なっていた。そして著名なゲームデザイナーである任天堂の宮本茂氏がステージに現れ万雷の拍手で迎えられると、リンクは成長した、と一言。E3史上に残る最高の瞬間であった。
実際E3 2004は、ほぼすべての関係者にとって興奮に満ちた年であった。Microsoftは「Fable」「Forza Motorsport」「メック アサルト2:ローンウルフ」「DOOM3」そしてConker's Bad Fur Dayのリメイクである「コンカー:Live and Reloaded」といった「Xbox」向けタイトルの強力なラインアップを擁していた。だが、Microsoftの真のエースは、ザンジバルと呼ばれるマップを舞台にした「Halo 2」のマルチプレーヤーデモだった。マスコミ各社はこの時初めてHalo 2をプレイし、二丁拳銃や車両ダメージといった新機能を実体験できた。「PlayStation 2」もいまだ健在であることを見せつけ、「ゴッド・オブ・ウォー」「グランツーリスモ4」「キルゾーン」、そして見事な出来の「怪盗スライ・クーパー」と「ジャック×ダクスター」の続編、Criterion Games制作のFPSである「BLACK」の初期バージョンの驚愕のデモなどを展示していた。
E3最優秀コメント:
「まさしくその『違い』という言葉こそ、われわれの次世代機に対するアプローチを定義するものだ。単に新しいということでなく、単に新たなテクノロジを取り入れるということでもない。テクノロジはすばらしいものだが、それだけでは十分ではない。今日の家庭用ゲーム機はすでにかなりリアルな写実表現を実現しており、そうしたグラフィック面をただ増強するだけでは、ほとんどのユーザーは違いを感じないだろう。では、新ハードウェアはどうあるべきか?ゲーム開発者とプレーヤーの両方にとって、新ハードウェアは今以上のものでなければならない。かつてないプレイ体験を、ほかのハードウェアがこれまで実現していない何かを提供できなければならないのだ」
-任天堂社長の岩田聡氏。ニンテンドーゲームキューブの後継機であるコードネーム「Revolution」に初めて言及して
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