PCベンダーにとってのネットブック--薄れつつある従来型ノートPCとの境界 - (page 2)

文:Erica Ogg(CNET News.com) 翻訳校正:川村インターナショナル2009年01月22日 07時30分

 過去1年間、10インチ以下のディスプレイと「Atom」プロセッサを備え、価格が400ドル未満のノートPCがネットブックと呼ばれていた。ネットブックは、2007年後半に市場浸透度がほぼゼロの状況からスタートしたが、IT市場調査会社のIDCによれば、2008年末までにおよそ1000万台が出荷されている。現在はポータブルPC全体の7%を占め、短期間でけた外れの成長率を見せている。しかし、この分野が実際にどう成長していくかには、大きな疑問がある。

 「市場は多面的だ」と言うのは、IDCのPCアナリストであるLoren Loverde氏だ。「増加は右肩上がりではなく、むしろアメーバの増加に似ている。さまざまな方向に広がっていって、異なるものを生み出したり、吸収したりする」

ネットブックとは?

 ネットブックがほかと違う点や、ネットブックという分野について、当初は共通の認識らしきものがあったようだ。IntelがAtomプロセッサを発売したことで、ネットブック分野はスタートした。このAtomは、処理能力は低いが、大幅な低価格化を実現していた。One Laptop Per Child(OLPC)とIntelは、開発途上国向けの低価格ノートPCで先頭に立っていた。しかし2007年後半、ASUSTeK Computerが「Eee PC」を発売し、コンシューマー向けにこの分野を開放した。Eee PCは当初、かなり小型の7インチスクリーンと、小さなチクレットキーボード、ソリッドステートドライブ(SSD)を搭載し、WindowsではなくLinuxを採用した。

 その後、状況は大きく変化した。1年たった現在、ネットブックの解釈は、メーカーの数と同じくらいたくさんある。Dellのネットブックの定義は、ソニーの定義とは違うし、ソニーの市場に対する見方は、AcerやHewlett-Packard(HP)とは違っている(東芝は、少なくとも米国内では、ネットブック市場に参入する考えはない)。

 AcerとASUSは、ネットブックとは何かという点では、基本的に同じ考えだ。それは、9インチのディスプレイを備え、価格が300ドルから400ドルの間にある、性能が低いノートPCで、主にインターネットへ接続することを目的に作られているというものだ。この台湾のメーカー2社は、最も早くネットブックの販売を開始した。その取り組みのかいがあって、早い段階でネットブックの市場シェアの大部分を獲得している。Acerは特に欧州での販売が好調だ。

 2008年夏には、米国で第1位、世界で第2位のPCメーカーであるDellが、シェアを守ろうと競争に加わった。Dellの「Inspiron Mini 9」は標準的なネットブックだったが、その後発売された「Inspiron Mini 12」は変わっている。Miniシリーズに加えられて、ネットブックとして販売されているが、12インチというディスプレイサイズは、小型の従来型ノートPCに危うく届くところまで大型化している。600ドルをわずかに下回る価格も、「Inspiron 15」の699ドルとあまり差がないように思える。

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