MSのウェブ版Officeが登場--オフィス製品の行く末は?

2008年10月30日 03時00分

 Microsoftがウェブブラウザで動作するOfficeアプリケーションを披露しました。Internet Explorer、Firefox、Safariなどの一般的なウェブブラウザで動作し、モバイル版、PC版などとシームレスに切り替えながら、ドキュメントを編集できるそうです。

 ライバルと目されるGoogle Appsは個人ユーザーだけでなく、法人顧客の注目も集め始めています。MSのウェブ版オフィスも、個人にはOffice Liveを通じて、法人ユーザーにはホスト型のプログラムなどを通じて提供される予定です。

 これまでOffice製品は有料のパッケージ版として提供されてきました。これがウェブで使えるようになると、MSのビジネスモデルはどのような影響を受けることになるでしょうか。また、ウェブベースのOfficeアプリの意義を長年にわたって疑問視してきたMSが方向転換したことで、オフィスソフトの主流はオンラインに移行していくのでしょうか。パネリストの皆さんの意見を聞かせてください。


  • 及川卓也
    及川卓也さん (テクノロジーアドバイザー)
    マイクロソフトの発表では、このOfficeアプリケーションは、"lightweight versions of Office - through web browsers"、つまり、ブラウザをインターフェイスとする軽量版だとのことです。

    マイクロソフトは、従来より、ソフトウェアプラスサービス、つまりPCクライアント側にリッチなアプリケーションがあり、それとウェブのサービスを組み合わせるほうが、SaaSよりも優れていると主張しています。今回のOfficeアプリケーションのウェブ版というのもこの戦略に沿ったものと考えることができます。軽量版(Lightweight)というものの中身を見ていないと何とも言えないのですが、おそらくPCでしかできない機能が残るのでしょう。あくまでもPCが中心ではあるが、移動中のユーザーなどのために、最低限の機能は携帯デバイスやブラウザからも利用出来るようにするのが狙いだと思います。ExchangeサーバーのクライアントであるOutlookに対して、OWA(Outlook Web Access)というのがありましたが、それと同じようなものが提供されるだけだったとしても驚きません。

    ひとつ期待できるかもしれないのが、コラボレーション(共同編集/協調作業)です。SharePointServerなどのウェブベースの情報共有インフラが従来のファイルサーバーと同じような形で企業内では使えます。それと同じように外部からもアクセス可能なウェブサイト(一般ユーザーはOffice Live、企業ユーザーはホスティングサービスとして)の上のファイルがブラウザからもOfficeアプリケーションからも共同編集が出来るようになるのではないでしょうか。これは便利だと思います。

    一般に、別のプラットフォームに製品を移植する場合、単なる移植だけで済む事足りる場合と、そのプラットフォームの特性を意識して、大きく製品を作り変えなければいけない場合があります。MS-DOS時代に多くのユーザーがいた製品でもそのまま移植するだけではWindows時代には生き残れませんでした。Microsoft OfficeがMacに提供されるようになったとき、MacOSの機能やUIにあわせて、Windows版のOfficeに無い機能をあえて搭載しました。同じように、ウェブ版のOfficeを考えるときには、単にブラウザからも作業できるというだけではなく、ウェブならではの機能をどれだけ搭載できるかが成功の鍵でしょう。もしくは、それをするかしないかでマイクロソフトの本気具合がわかると思います。
    2008-10-30 14:20:13

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