ニコニコ動画が支持されている要因、
それは、様々な要因があるのだが、突き詰めて考えると、村井は、動画の上に流れてくる「コメント機能」にあると考えている。
もし、YouTubeで再生した動画が、面白くなかった時、あなたならどうするだろうか?
恐らく多くの人が、その動画が再生途中だったとしても「停止ボタン」を押して、「動画」を見ることをやめるだろう。
一方、ニコニコ動画上では?
村井の場合、
恐らく、「停止ボタン」を押さずその動画を見続けてしまう。もしその動画が本当に面白くなかったとしてもだ。当然、10分以上ある尺の場合は、時間の都合上「残念ながら」途中で断念する場合もあるが。
実は、この両者の違いを生み出しているのが、
言わずもがな「コメント機能」なのだ。
先ほどの話にもどるが、もしあなたがつまらない動画をニコニコ動画上で見たとしたら、こんなコメントが怒涛のように流れてくる。
「つまらない・・・つまらない・・・つまらない・・」。
このコメントを見て。
「あーやっぱりみんなつまらないって思ってるんだ」みたいに思ったりする。
ただコレだけ。
でも、これが重要。
つまりこのコメント機能を使うことで、YouTubeと違い、動画を媒介として他人の感情に少しふれることできるからだ。
そして、動画を見続けてると、
なんとか面白いところを見つけてやろうと画策しているコメントが流れてたり・・・。
どんなに探したけど面白いところが無かった・・みたいなコメントが流れてたり・・・。
様々なコメントが、四角い動画フレーム上を所狭しと流れてくる。
このコメントを、村井は、ユーザーの「心の声」と呼んでいる。これこそが「ニコニコ動画」の魅力だ。
使ったことがない人には、なかなか想像しづらいだろうか?
例えるなら、
テレビを見て、テレビに突っ込みを入れている親父が、日本に100人いたとする。その100人の突っ込みが動画上にリアルタイムに流れるてくるよになったものだ。
同じシーンに100名が「同時」に突っ込みをいれる訳だから、当然その突っ込みにはパワーが出てくる。
このパワーをWEB上にかき集めることが出来た点が、WEBらしく、かつ斬新な点だ。
話は変るが、
今、日本はお笑いブームだ。
テレビをつけると、お笑いタレントが出ないときはないと言ってもいいほどだ。それほど、視聴者はテレビにお笑いを求めている。
で、そのお笑いの基本。
それは、「ボケ」と「突っ込み」だ。
かつて「ボケ」と「突っ込み」は、関西のおはこだった。
しかしながら、テレビの普及・お笑いブームの成熟により、視聴者(関西・関東関係なく)の「ボケ」と「突っ込み」の感覚は、明らかに高度化してきた。
つまり、テレビを見ながら「一人突っ込み」しているおじさんやら、おばさん、お兄さん、お姉さんなどの技術は、かつてに比べはるかに向上した。
ニコニコ動画は、そんな視聴者の「突っ込み」スキルをあますことなく動画に取り込むことを可能にした。
言うならば、
「動画」が「ボケ」で、「みんなのコメント」が「突っ込み」だ。
つまり、お笑い要素を含んだユーザー参加型の新しいエンターティンメントが誕生したのだ。
その視点で考えると、動画は何でも良い。
もちろんボケ要素満載な動画なら、最高の突っ込みが期待できるのは言うまでもない。
WEBユーザーの手に掛かれば、
どんなにつまらない動画でも、彼らの「突っ込み」技術により面白おかしい動画へと変貌を遂げる。
動画共有サイトは、過去"あまた"あった。
当然のごとながら、それらサイトはいまや見る影もない。
それは当然のことで、
動画で勝負する動画サイトは、動画のクオリティーが物を言うからだ。
数億円掛けて撮影されたテレビ上に流れる動画に対し、携帯やDVDカメラで取った素人の動画を比べるほうが間違っている。
ニコニコ動画が挑戦したこと。
これは、とても重要なこと。つまり、「動画」そのものに価値があるのではなく、そこに載ってくる「コメント」にも価値をつけたと言うこと。
こんなパラダイムシフトを起こしたことが、ニコニコ動画のすごいところだと思うし、支持される理由なんだと考える。
尚、今後単月黒字化できるかどうかは、サービスとは別に、とても興味がある点だ。今後の動向には特に注目していきたい。
2007-10-17 13:06:43