ドワンゴおよび子会社のニワンゴは10月10日、動画コミュニケーションサービス「ニコニコ動画」に関する発表会を初めて開催した。「サービス開始以来、初めての前向きなバージョンアップ」(ニワンゴ取締役の西村博之氏)というニコニコ動画(RC2)を報道陣とニコニコ動画の有料会員向けに公開する場であるとともに、ドワンゴがニコニコ動画を主力事業の1つとして宣言する場ともなった。
東京証券取引所1部上場企業であるドワンゴが、新たな成長の柱としてニコニコ動画を位置付けた意味は大きい。ネットワークゲームの開発会社として創業し、携帯電話向けの着メロ、着うた事業で大きく業績を伸ばした同社が、創業10年目となる2007年に初めて企業理念を明文化したのも、ニコニコ動画を育てるためだ。
現在のところニコニコ動画は赤字が続いているが、「2008年9月期には単月黒字化する」とドワンゴ代表取締役社長の小林宏氏は言い切る。そしてその算段はすでについているようだ。ここでは10日の発表会で明らかになったニコニコ動画にまつわる最新の数値を見ながら、その強さと今後の展開を見ていく。
ニコニコ動画は2006年12月12日に「ニコニコ動画(仮)」として開始。当初は運営主体を明らかにしていなかった。その後2007年1月15日に、ニワンゴが運営するサービス「ニコニコ動画(β)」としてオープンした。
動画上にユーザーがコメントをつけられ、ほかのユーザーと動画を見ながら会話しているような感覚を得られる点が人気を呼び、正式サービス開始から10カ月目の10月9日時点で登録会員数は342万人となっている。
ニコニコ動画で最も特徴的なのは、ユーザーのアクティブ度合いの高さだ。ニワンゴの計測実績ベースで1日の平均アクセス数は約5500万ページビュー、ユニーク訪問者数は120万人、動画再生回数は2200万回、コメント回数は320万コメントで、平均滞在時間は1時間にものぼる。
ネットレイティングスの調査によれば、平均利用時間は動画共有サイト「YouTube」の3倍という。また、1月あたりの平均訪問回数は8.8回で、YouTubeの5.17回を上回る。
ブログでの引用状況を見ると、テクノラティでの引用回数は過去6カ月間でニコニコ動画が23万5882件、YouTubeが20万6865件と、ニコニコ動画が上回る。ただしYahoo! ブログ検索やmixiの新着日記、関連コミュニティを見ると、ニコニコ動画よりもYouTubeのほうが上回っている。
また、8月に一般公開した携帯電話向けのニコニコモバイルは、利用者数が43万人で1日1万人のペースで伸びているという。内訳を見ると、NTTドコモユーザーが27万人、auユーザーが16万人。ソフトバンクモバイルには対応していない。ニコニコモバイルの1日あたりのアクセス数は20万ページビューとなっている。
これだけ人気を集めるようになると、当然サービスを維持するための費用が膨大にかかる。ニコニコ動画が赤字なのは、回線費用などが重い負担になっているためだ。
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