筆者は数週間前、指と目で操作可能なインターフェースを備えた最高品質の複合現実(MR)ヘッドセットを目の当たりにした。それはAppleの「Vision Pro」だ。しかし、筆者がVision Proの発表の数カ月前に目撃したものは、おそらくもっと途方もないものだった。両耳にクリップを挟んで、先端がゴム状のセンサーが付いたヘッドセットを頭にかぶり、フェイスマスクを目の位置まで下げると、突然、自分の脳波が仮想現実(VR)に表示され、顔の筋肉のわずかな動きだけで、さまざまなものを動かせるようになった。筆者がテストしたヘッドセットは、OpenBCIの「Galea」だ。
VRと拡張現実(AR)の未来は着実に進歩しているが、入力の問題は未だに解決していない。現在、入力は物理的なコントローラーからハンドトラッキングやアイトラッキングへと移行しつつある。しかし、それよりも大きな可能性を秘めた入力方法がある。神経入力だ。
Galeaヘッドセットを試した体験について、どう説明すればよいのかさえ分からない。これは、次に起きることを探るためのプラットフォームだからだ。それに、神経技術の分野における筆者の経験も、まだ初期段階にある。
OpenBCIは、米国ニューヨーク州ブルックリンに拠点を置き、非侵襲的なブレインコンピューターインターフェース(BCI)技術の研究ツールを構築している企業だ。自社の感覚システムを、2023年中の発売を予定しているGaleaというMRヘッドセットに適応させる作業に取り組んでいる。筆者は、ブレインコンピューターインターフェースがVRやARでどのように機能するのか興味があったので、OpenBCIのブルックリンオフィスでGaleaのプロトタイプ版を試させてもらった。また、今後、コンピューターとのやりとり全般はどのように進化していくのか、ということにも関心があった。
筆者は、特定の視覚タスクに焦点を当てる、もっと単純なEEGセンサーを過去に試したことがある。例えば、NextMindでは、特定の場所に焦点を合わせるとアクションをトリガーすることができた(NextMindは2022年にSnapに買収されている)。マウスをクリックする感覚に非常に近かったが、異なるのは、それを頭の中で行うという点だ。しかし、OpenBCIのGaleaでは、あらゆる種類のセンサーが組み合わさっている。使用されているセンサーは、EEG、EMG、EDA、PPG、アイトラッキングと、略語のオンパレードだ。
EEG(脳波)は、脳信号の電気活動を測定する。OpenBCIでは、先端がゴム状になったセンサーを頭皮の近くまで押し込んで、これを測定する。筆者が2021年に試したNextMindのハードウェアとよく似ている。電極は乾いた状態のときに機能するが、髪の毛があまり多くない状態を維持しておかないと、信号を効果的に検出できなくなる。
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