Appleが複合現実(MR)ヘッドセットを発表すると予想されている「Worldwide Developers Conference(WWDC)」イベントに先立ち、Qualcommが拡張現実(AR)/仮想現実(VR)ヘッドセットに関する取り組みについて、新たな情報を発表した。カリフォルニア州サンタクララで米国時間5月31日から6月2日にかけて開催されているARを主要テーマとした開発者会議「Augmented World Expo(AWE)」で、Qualcommはヘッドセットやスマートグラスをスマートフォンとよりスムーズに連携させるための新たなステップを提示した。これはまさに、AppleやGoogleをはじめとするブランドが次に向かうべき領域だ。
Qualcommはこの数年間、開発者向けプラットフォーム「Snapdragon Spaces」のもとで、ARグラスとAndroid搭載スマートフォンの橋渡しをするソフトウェアの開発を促進してきた。同社は今回、Snapdragon Spacesの新機能「Dual Render Fusion」を発表した。これはコネクテッドグラスとの連携を通じて、AndroidアプリにAR機能を追加するのをさらに容易にすることを目指すものだ。
Qualcomm製チップはすでに、市販されているXR(AR/VR)デバイスの多くで採用されており、近いうちにさらに数機種がここに加わる予定だ。その1つであるOPPOのMRヘッドセット「MR Glass」は、「Meta Quest Pro」やAppleがリリース予定とされるヘッドセットとほぼ同様に、カメラを利用してディスプレイにパススルー動画を表示する。Qualcommはまた、次世代のMRプラットフォームに向けてGoogleやサムスンとも提携している。
Appleのヘッドセット、そしてGoogleのサムスンおよびQualcommとの提携はいずれも、すでに利用されているデバイス(スマートフォンやタブレット、そしておそらくノートPC)上のアプリと、今後リリースされるヘッドセットとの連携に取り組むべきであり、実際そうなるだろう。ARグラス向けチップ開発に関するMicrosoftとQualcommの提携についても、「Windows」向けの同様の計画が進められる可能性がある。
Snapdragon Spacesは、こうしたアプリすべてをARグラスで機能させるのに理想的な手段とは言えないが、それでも出発点とは言える。さらに、こうしたハードウェアに関するプロジェクトがあること自体が、これらのヘッドセットのあり方が、スタンドアロン型デバイスよりも、さまざまな機器と相互接続する周辺機器として存在する方向に傾いていることを示唆している。もっとも、筆者にとってはそれで問題はない。「Meta Quest 2」は優れた製品ではあるが、これらのゴーグルやグラスがさらに役に立つようになる唯一の道は、すでにポケットの中にあるデバイスとシームレスに連携することだからだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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