Appleは何年も前から自社のデバイスに拡張現実(AR)を組み込んできたが、Bloombergの新しい報道によると、ARおよび仮想現実(VR)に関して、まもなく過去最大の動きに出る可能性があるという。その動きとは、複合現実(MR)ヘッドセットの生産だ。先頃の取締役会で、そのヘッドセットのデモが披露された、とBloombergは報じている。
この報道は、長い間うわさされてきたAppleのヘッドセットが完成に近づいていることを示すものなのかもしれない。Wi-Fi 6/6EをサポートするAppleのVR/ARヘッドセットが、2022年第4四半期に登場する、というアナリストのMing-Chi Kuo氏による以前の予想とも一致している。Appleが2022年にヘッドセット、2025年頃にスマートグラス、その後にARコンタクトレンズを発表する可能性があるという以前の報道も、Kuo氏の予想を裏付けている。
BloombergのMark Gurman記者によると、Appleは近い将来ARとVRを融合し、高度な「Quest 2」のようなハイエンドのAR/VRヘッドセットでこの分野に進出する可能性があるという。Gurman記者は、ゲームやメディア、コミュニケーションに焦点が当てられることも示唆している。コミュニケーションに関して言うと、うわさのヘッドセットを使用しての「FaceTime」では「ミー文字」と「SharePlay」を利用することになる、とGurman記者は考えている。つまり、話し相手が直接見えるのではなく、パーソナライズされた3D版のミー文字アバターが表示されるのではないか、ということだ。
Appleがヘッドセットに関して、大規模な計画を立てている可能性もある。MacRumorsでは投資家に宛てたKuo氏のメモが引用されており、「(同社の)目標は、10年以内に『iPhone』をAR(デバイス)に置き換えることだ」と説明されている。Kuo氏によると、このデバイスは比較的軽量で、約300~400gになりそうだという。この場合、Metaの「Oculus Quest 2」よりも軽いことになる。
2021年のThe Informationの報道によると、このヘッドセットは8Kディスプレイ、アイトラッキング、現実世界をスキャンしたり、ARとVRを融合したりできるカメラを備えており、価格も3000ドル(約39万円)以上と高額になる可能性があるという。
ヘッドセットは、Appleの「M1」プロセッサーを搭載し、スタンドアロンデバイスとして機能する見通しだが、Appleの他のデバイスと接続できる可能性もある。実際に、Appleのヘッドセットに関する報道のほとんどは、軽量化、より高度なパススルーカメラによる複合現実機能の追加など、VRの進化の方向性と一致しているように思える。その意味で、Appleの最初のヘッドセットはおそらく、未来のより軽量なARグラスへの足がかりになるだろう。これは、「Project Cambria」と呼ばれるMetaの次のヘッドセットが果たすかもしれない役割と同じものだ。
社内の意見の不一致によるものか、戦略の複線化のためか、AppleのAR/VRロードマップに関する2021年の報道では、最初にVRヘッドセットを発表した後で、より普通の見た目のARスマートグラスに着手するとされていた。しかし、最近の報道では、とある高度なVR製品が先行しているという仮説が優勢のようだ。
こうした報道は、数年前から出回っている。しかし、問題なのは、このヘッドセットが実際に発表される正確な時期だ。2022年だろうか。それとももっと先だろうか。Appleは、より高度なARツールをiPhoneや「iPad」に組み込みながら、他の何らかの製品の準備を整えている。だが、その製品(複数あるかもしれない)が何なのかが、依然として不明なのだ。ますますはっきりとしてくる事実は、AR/VR分野の他の企業も、ARグラスの実現に予想よりも長い時間を要している、ということだ。
一方でVRは、短期的にはより到達しやすい目標となっている。
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