Appleはこれまでヘッドセットを1つも発売しておらず、出番を待ち構えている状態だが、ARに対する野心は、何年も前からiPhoneやiPadにはっきりと反映されていた。毎年、「iOS」にARツールを追加し、大きく進化させている。ヘッドセットが登場する時期については、2022年、2023年、あるいはもっと先とさまざまな意見がある。Appleはスマートグラスだけを発表するのか、それとも、複合現実のVR/ARヘッドセットも開発しているのだろうか。
筆者は思い出せないほど多くのARおよびVRヘッドセットを試し、何年にもわたってこの分野全体を追ってきた。すでに判明している断片的な情報だけから判断しても、多くの点で、Appleの未来のARヘッドセットの理論上の方向性は明白なはずだ。同社は2020年にVRメディアストリーミング企業のNextVRを買収し、2018年にはARヘッドセットレンズメーカーのAkonia Holographicsを買収している。
長い間うわさされてきたこのヘッドセットがどんなものになるのか、筆者もいろいろ考えてきた。これまでの報道は、筆者の考えと一致しているように感じる。他に多くのスマートウォッチが存在する中で登場し、見たことのある機能を多数搭載していた「Apple Watch」と同じように、Appleのスマートグラスも、AR/VR分野の最近の動向を注視してきた人を驚愕させることはおそらくないだろう。
「Google Glass」を覚えている人はいるだろうか。Snapchatの「Spectacles」や「HoloLens」「Magic Leap」はどうだろうか。MetaもARグラスの開発に取り組んでいる。SnapやNianticも同様だ。この分野はすぐに群雄割拠の状態になるかもしれない。
Appleの方向性と、同社が初期のプラットフォームがはまりがちな落とし穴をどうすれば避けられるのかを、報道に基づいて以下で考察していこう。
新しいApple製品は、発売の数カ月前、場合によってはそれ以上前に発表される傾向がある。iPhoneやApple Watch、「HomePod」、iPadはすべてその伝統を踏襲してきた。
The Informationが2019年、リーク情報とされるAppleのプレゼンテーション資料を基に報じたところによると、Oculus Quest風のAR/VRヘッドセットは2022年、スマートグラスは2023年にそれぞれ発表される見通しだという。AppleはARに関して、段階的な戦略を採用し、複数のデバイスをリリースするつもりなのかもしれない。つまり、クリエイター向けの高価なデバイスを最初にリリースした後、一般ユーザー向けのデバイスを発表する可能性がある。TrendForceは、MicrosoftやOculusの製品を凌駕するAR/VRヘッドセットは2023年かもっと先まで登場しないのではないか、と考えているようだ。
2022年に発表されるとの予想は、MacRumorsによって取り上げられたDigiTimesの報道と一致する。それによると、Appleは8月か9月にヘッドセットの量産を開始し、2022年中に発売する可能性があるという。
いずれにせよ、開発者がAppleのスマートグラス向けの開発に慣れて、Appleの設計ガイダンスに沿ったアプリを作るためには、発売よりずっと前に作業を開始する必要がある。そのためには、実際の発売よりずっと前にそのハードウェアについて知らせなければならない。年次開発者会議「Worldwide Developers Conference」(WWDC)で発表される可能性もある。
それ以上のことは依然として不明だが、未来は私たちの予想以上に遠いようだ。
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