AirPodsのすぐに使える快適さと奇抜なデザインは、Appleのハードウェアを顔の一部に直接装着することが受け入れられ、当たり前になるまでの初期実験だと、筆者は以前から考えていた。AirPodsは有線イヤホンと比べると高価だが、実用的で、気兼ねなく使える。Appleからヘッドセットが登場するなら、同じように感じられるものでなければならない。
空間オーディオは、AirPods MaxとAirPods(第3世代)で使える機能で、この先のアイデアの方向性を示すものだ。没入型のオーディオというのは気楽で、いつでも使うものだ。没入型の動画となると難しく、いつも必要なわけではない。筆者は、ARがオーディオ主導で機能すると予想する。Appleのスマートグラスは周囲をスキャンして空間を認識する可能性があるので、そうなると空間オーディオが機能しそうだ。一方、VRヘッドセットで必要になる空間オーディオ技術を、Appleはすでに開発中だ。
Appleには、iPhoneと連動するウェアラブルデバイスがすでに色々ある。いずれも、スマートグラスとの相性は良い。AirPodsはオーディオで連動できるし(もっとも、スマートグラスには「Bose Frames」のように独自のオーディオ機能があるだろうが)、Apple Watchは便利なリモコンとして使えるかもしれない。今でも、「Apple TV」のリモコンになったり、あるいはiPhoneのカメラと連動したりといった役割を果たしている。これから登場するAppleのヘッドセットも、Apple Watchでディスプレイを仮想的に拡張し、追加機能をさりげなく提供するかもしれない。あるいは、Apple Watchが何らかのコントローラーになることも考えられる。
またApple Watchは、ハンドジェスチャーやタッチ式フレームでは難しい機能も実現できる可能性がある。触覚だ。Apple Watchの震える感触があれば、仮想の物体に触覚反応を加えられるのではないか。
QualcommとAppleは、今後のiPhoneで再び手を組むことになっており、それはモデムの問題にとどまらないだろう。確かに、5Gはスマートフォンの未来を握る鍵に違いない。だが、同時に次世代のARとVRにとってのキラー要素でもある。Qualcommは、リモートレンダリングによって5G対応のスマートフォンやスマートグラスからストリーミングコンテンツやクラウド接続の位置データにリンクする実験をすでに進めている。スマートグラスが最終的にスタンドアロン化したときには、Apple Watchが後からセルラー通信を利用できるようになったように、高度な計算処理に5Gを利用することになるかもしれない。
Qualcommのチップセットは、スタンドアロン型のARおよびVRヘッドセットのうち、筆者が思いつく限りほぼすべてのモデル(Oculus Quest、HoloLens 2、最近の新しいスマートグラス群、Google Glassの最新バージョン、「Vive Focus」)に採用されている。はたして、Appleの技術はQualcommのクロスデバイス的プラットフォームと、うまくかみ合うのだろうか。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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