米国で始まったApple Card、成否の鍵は「金融教育」--Appleニュース一気読み

 8月5日~8月11日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。Appleは8月7日より、順次Apple Cardへの招待を開始した。Apple CardはiPhoneの「Wallet」アプリから申し込めるクレジットカードサービスで、Goldman Sachsと取り組む新しい金融サービスだ。

 発行されるクレジットカードは極めてApple Payに最適化され、Walletアプリで利用明細や支払い、サポートなど、カードに関するあらゆる情報や手続きを完結できる。確かにこれまでもクレジットカードや銀行のアプリは多くリリースされてきたが、発行からあらゆる手続きをアプリに集約できていた例はなかった。

 Apple Cardは、クレジットカードを既に利用している人からはさほど評価を受けていないが、カードから縁遠くなったY世代(Generation Y)にとっての「初めてのカード」の座を勝ち取る公算が高い。

 年会費や手数料など、既存の金融サービスで理解しがたいコストが徹底的に排除されている点もあるが、米国内だけで1億人というApple自慢の「iPhoneのアクティブユーザーベース」に対して、コストゼロでプロモーションできる強みがある。そして、Apple CardユーザーをiPhoneに囲い込めるようになる。

 その一方で、眉をひそめたくなる賭けの部分もある。それは悪夢のフレーズ「サブプライム」層をターゲットにしている点だ。

 Apple Cardの初期の登録者には、米国の信用度を示すクレジットスコア「FICO」が630という、下から2番目の信用力の人も含まれているという。もちろん毎月の限度額は750ドルと慎ましいものでリスク対策はとられているが、超富裕層や投資銀行業務を主戦場としているGoldman Sachsが取り組んでいる点で意外性もある。

 Apple Cardはユーザーに対して、Walletアプリで細かく情報をチェックしながら、正しくクレジットカードを使ってもらうことを「教育」していく可能性がある。その成否が、Apple Cardの成功の鍵となるだろう。

 Apple Cardについては7月中旬、個人間取引を行えるApple Cashとともに、日本でも商標登録出願が出された。

「Apple Card」、仮想通貨の購入禁止?(8/5) 「Apple Card」、招待制で提供開始(8/7)

9月イベントについてのまとめ

 例年通りにいけば、いよいよAppleの9月のイベントまで1カ月を切った。

 2019年9月のカレンダーと例年の開催パターンを照らし合わせて見ると、9月9日から13日までの週にイベントが開催される公算が高く、例年のように9月11日を避けるなら、9月10日か9月12日にイベントが行われる、と推測できるからだ。

 またこちらも例年通りなら、iPhoneとApple Watchのアップデートが行われることになる。

 iPhoneは今年も3モデルが期待されており、有機ELディスプレイ搭載の2モデルと、液晶ディスプレイの1モデルという2018年の構成を踏襲すると考えられている。プロセッサはグラフィックスなどを更に強化した自社設計のA13にアップデートされることになるはずだ。

 今年の最大のアップデートはカメラで、iPhone初の3眼が上位2機種に搭載され、シンプルな1カメラが売りだったiPhone XRの後継モデルにも、新たにもう1つのカメラが搭載されるとみられる。

 追加されるカメラは超広角レンズを備えており、写真のフレームの外まで記録して、あとから画角を変えることができる機能を備えるとみられる。また超広角レンズは拡張現実アプリを使用する際にも有利になるだろう。

 しかし、他のハイエンドスマートフォンがサポートし始めた次世代通信「5G」については、2019年は見送られるとの見方が大勢を占めている。

 Appleは2019年4月に係争中だったQualcommと複数年にわたるライセンスとチップ供給の契約を結び、5Gモデム搭載の道筋を整えたばかりだ。たとえ7月にIntelのスマートフォンモデム部門を買収したとしても、2019年のiPhoneへの搭載に影響を与えるほど、Intelのモデム開発が進んでいたわけではなかった。

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iPhone vs Android/Samsung

 例年、8月にSamsungのフラッグシップファブレット、Galaxy Noteシリーズが刷新され、AppleのiPhone刷新の前にiPhoneかGalaxyか、iOSかAndroidか、という論争が記事になる。

 ユーザー体験の世界では、よりよい体験が追求されていく進化が前提とされているが、その一方で、不思議な配列のQWERTYキーボードがスタンダードとなったように「慣れ」が最大の使いやすさを認識させる。

 これに加え、スマートフォン宗派論争には、自分のデータやライフスタイルがどんなアプリによって作られているのかに依存しており、Appleは金融、医療・健康、プライバシーなどで囲い込みを強化している。判断のポイントは多様化し、できることはほぼ同等となっている。

 そのため、あとはプラットホームやブランドの永続性などの競争に移っている。だからこそ、AppleやSamsungのビジネスに注目する必要がある。

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