Microsoftと契約する外部企業の従業員が、同社の提供する翻訳機能などを改善するために「Skype」でやり取りされる一部の会話の録音データを聞いていると、Motherboardが米国時間8月7日に報じた。Skypeのウェブサイトには、製品およびサービスを向上させるために、翻訳機能を利用する会話の内容を「収集して使用する」と記載されているが、Motherboardによると人間によるレビューが行われることは明記されていないという。
Apple、Amazon、Googleの各社がそれぞれの音声アシスタント機能に関して、一部の録音データをレビューアーに分析させていたことがすでに報じられているが、今回明らかになったMicrosoftの行為もそれらと類似するもの。各企業とも、それがシステム改善のための重要な手段だとしている。しかし、Appleは先週、そのプログラムを一時中止し、Siriの録音データの分析をオプトアウトする機能をユーザーに提供すると述べていた。またAmazonやGoogleでも、ユーザープライバシーに関する一般からの懸念の声を受けて、同様の動きに転じている。
今回の件で、Microsoftにコメントを求めたが回答は得られていない。ただし、Microsoftの広報担当者はMotherboardに宛てた声明で、同社は「検索、音声コマンド、文字起こし、翻訳サービスなどの音声対応サービスの提供と改善のために、音声データを収集している」と述べた。
さらにこの広報担当者は次のように付け加えている。「Microsoftは、音声データの収集・使用に関して事前に顧客の許可を得ている。また、このデータを外部のベンダーと共有する際には、ユーザーのプライバシーを優先するための複数の手続きを実践している。具体的には、データの匿名化や、ベンダーおよびその従業員による秘密保持契約の締結、欧州の法律に定められた高いプライバシー基準を満たすことなどをベンダーに求めている」(Microsoft広報担当者)
Motherboardによると、外部業者の従業員が聞き取るSkype音声データには、人間関係の問題、減量など個人的な話題、親密な会話などが含まれるという。またMotherboardが入手した録音データの長さはそれぞれ5~10秒間だったが、実際にはそれ以上の長さのものもあるという。さらに、Microsoftの仮想アシスタント「Cortana」に対してユーザーが発した音声コマンドも聞き取りの対象になっていると報じられている。
なお、Skypeの音声通話のリアルタイム翻訳は現在、英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、中国語、日本語、イタリア語、ポルトガル語、アラビア語、ロシア語の10言語に対応している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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