6月24日~6月30日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。Appleは、同社に27年勤め、そのほとんどの期間のインダストリアルデザインを主導してきたジョナサン・アイブ氏が、2019年中に退職することを発表した。
アイブ氏は52歳。Appleを退職した後は「LoveFrom」というクリエイティブ事務所を立ち上げ、盟友でデザイナーのマーク・ニューソン氏と合流するという。ニューソン氏は社外の立場から、アイブ氏がいるAppleとの協業を行ってきた。
なおLoveFromの最初の顧客はAppleになる模様で、ひきつづき独占的なプロジェクトに関わっていくことを、Tim Cook CEOが明らかにしている。その分野は、ウェアラブルなどのデバイスになるのではないか、との見方が多い。
アイブ氏はロンドンでデザインのキャリアをスタートさせ、1992年に米国へ渡り、Appleのインダストリアルデザインに携わった。1996年にスティーブ・ジョブズ氏がAppleに復帰し、アイブ氏はこの分野を担当する副社長に昇格、インダストリアルデザインチーム主導で、ジョブズ氏が構想するさまざまなデバイスにカタチを与え、世の中に送り出してきた。
iMac、iPod、MacBook Air、PowerMac G5、Mac Pro、iPhone、iPhone X、Apple Watchと、近年Appleを象徴するデバイスのデザインを手がけ、Apple Storeの新しいコンセプトやApple Parkといった建築分野にも深く携わってきた。
アイブ氏のAppleにおけるデザインは、鮮やかに色付けられた半透明のプラスティックを持ち行ったiMacにより、コンピュータという存在に“デザイン”という観点と有機的な親しみやすさを持ち込むことで、Appleのブランド性を一挙に高めることに成功した。
それ以降は一貫してミニマリズムで、直線と平面、曲面をうまく活用しながら、白いポリカーボネイト、そしてのちに金属とガラスの素材で外装を覆うデザインに収れんしていった。
またPCもスマートフォンもタブレットも、角に丸みを持たせながらも、限りなく「板」の形状に近づいており、たとえばiPad Proは、これ以上のデザイン性を受け付けないところまで来ている。簡単に言えば、もはや単なる板になってしまった。
もしAppleが、今後当面、現在の製品構成で進めるとすれば、おそらくアイブ氏の仕事を終えている可能性がある。しかしまだまだデバイスが増えそうなウェアラブルデバイスには関わり続けるという点からしても、納得のいく見立てだ。
いっぽうAppleは、時を同じくして、ARMでリードCPUアーキテクトを務めていたマイク・フィリッポ氏を引き抜いたとみられている。同氏はIntel、AMDで勤めた経歴を持っており、前職はARMだったことから、いずれもAppleの製品に深く関わるチップの設計に携わってきた。Intelでは、ハイエンドサーバCPUを対象とした電力解析・最適化チームの統括を行っていたことも、現在のAppleの技術動向を見ると無関係とは言えない。
デザインについての一定の仕事が終わり、Appleは今後、より技術的な側面で競争力を高めていこうとしているようにも見える。
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