AppleとGoogleの開発者会議は毎年、世界のスマートフォンOSの大半を支配している両社が重視する取り組みについて論評する機会になっている。Googleの手広さはコンピューティングの方向性を示したが、スマートフォンや「Chromebook」以外にデバイスの優位性を拡大できなかったことで、Appleに他のスマート製品カテゴリーでのリードを許す機会を与えた。
Googleは数年前から人工知能(AI)がモバイルに影響を与えると主張しており、例えば、特に重視している分野として、「Googleマップ」の機能向上について語る傾向にある。また、未知の領域に無秩序に手を出す傾向もある。その犠牲になったのは、「Daydream」、「Nexus Q」、「Jump」(VRカメラ)、小型カメラの「Clips」、「OnHub」ルーター、早すぎた「Project Tango」、そして遅すぎた「Allo」などだ。
だが、こうした犠牲のすべては、「Googleアシスタント」による予約サービス「Duplex」と、そのいとこに当たるアプリのナビ機能のようなブレイクスルーで帳消しになる。最高のものであれ、開発者との関連性が高いものであれ、Google I/Oでの発表内容は、テクノロジーの限界を押し広げるという期待を生み出した。
一方、AppleのWWDCは、同社の4つ(今や5つになった)のOSを中心に展開した。これらのOSはそれぞれ、特定のデバイスと強く結びついている。「tvOS」は比較的小さな改善、「watchOS」はやや大きな変化、「iOS」と「macOS」は最も注目されるという、パターン化された発表ではあった。将来の「iPadOS」も、機能のほとんどはiOSと共通であるにしても、同様の注目を集めるだろう。これは理にかなっている。watchOSがより独立したプラットフォームに進化していっても、「iPhone」「iPad」「Mac」は、watchOSよりはるかに豊かで広範な能力を持っている。これらのプラットフォームの機能強化は、WWDCに参加する開発者の大多数を魅了する。
Appleはまた、「Siri」や、今回は特に「ARKit」などの、デバイスを横断する技術の紹介にも時間を割いた。デバイス群全体にわたる継続的な機能強化により、Appleはスマートフォンとその周辺のほぼすべてのカテゴリーでの強力なリードを獲得した。これはまず、iPadの洗練されたユーザーインタフェースがAndroidタブレットよりはるかに優れていることで示された。Google自身が独自タブレットでAndroidから離れた(「Chrome OS」を採用した)ほどだ。tvOSとwatchOSも同様で、これらもAppleがGoogleを超える分野となっている。「AirPods」とGoogleの忘れられた「Pixel Buds」の対比もしかりだ。
Googleはハードウェア強化で過去の失敗を避け、オリジナルブランドのスマートフォンである程度の成功を収めながらも、AIとクラウドに賭けている。能動的なクラウドベースの(AIによる)エージェントは、最終的には的外れになる可能性があるという考えを出し抜くためだ。Googleはいずれ、市場で支配的なすべてのApple製品群について、これを推し進める必要があるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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