フェイスブックジャパンは5月27日、写真共有SNS「Instagram」のビジネス活用に関する記者説明会を開催し、マーケティングプラットフォームとしてのInstagram活用事例やサービス・プロダクトの最新動向について説明した。
フェイスブックジャパン執行役員 EC旅行領域 営業本部長の鈴木大海氏によると、2018年9月時点でInstagramの月間アクティブアカウント数は2900万を突破。女性に偏っていたユーザー比率も男性利用者が43%にまで増加しているという。
ビジネス活用については、Instagramの「グローバルでのビジネスアカウント数」が2500万、それらのうち「何らかのビジネスアカウントをフォローしている」利用者は80%というデータを紹介。
さらに、「ビジネスアカウントの投稿で興味関心を抱く」と回答した日本の利用者は42%であり、「この数字は影響力が高いインフルエンサーに対する興味関心よりも若干高く、企業の投稿がポジティブにとらえられている証拠」(鈴木氏)と、Instagramがビジネスとの親和性が高いことの根拠を示した。
このようにユーザーの裾野が広がり、ビジネスを展開するにあたっての地盤が整ってきた利用環境において、「ユーザーは家族や友人、好きなアーティストやインフルエンサーの投稿の中に入ってくる企業のメッセージを見る。ポジティブな影響を受けてブランドのイメージが上がるので、前向きに捉えてもらえる」(鈴木氏)ことが、Instagramがマーケティングプラットフォームとして有効である構図となっている。
Instagramがビジネスプラットフォームとして提供する代表的な機能は、「フィード」と「ストーリーズ」という2種類の広告と、「ショッピング」機能、これから米国で展開しようとしている「ブランドコンテンツ」の3種類。
国内での広告展開は、投稿が24時間で消えるストーリーズ機能を使ったストーリーズ広告との親和性が高いという。日本ではデイリーアクティブアカウントの7割がストーリーズを利用(投稿または閲覧)しており、「非常に高い成長を遂げていて、広告面でも注目されている」(フェイスブックジャパン クライアントソリューションズマネージャー リードの竹林明日美氏)という。
その理由としては、フルスクリーンの広告のため没入感があるほか、一般ユーザーが投稿するオーガニック投稿の50%以上が動画であるため見る側にとって違和感がないこと、さらに3月から「アンケート機能」を実装し、双方向性の新機能が追加されたことなどを挙げている。
「ストーリーズはずっと残っているフィードと比べてカジュアルな性質。ユーザーとの距離が近くインタラクティブでコメントが多いため、一般の人とのやり取りができる広告を展開したいという企業から引きが強い広告になっている」(竹林氏)
ショッピング機能は、日本では2018年リリースされたもの。商品画像をタップすると商品タグが表示され、そこから詳細ページを経てECサイトに遷移して購入できるというサービスで、ストーリーズでも利用できる。
さらに米国ではInstagramのアプリ内決済が可能な「チェックアウト機能」の提供が開始されており、他国でも順次サービスを展開するとのこと。また、クリエイターが投稿内でショッピングタグをつけられる機能も発表され、一部試験運用が開始された。これらによって、「発見から購買までInstagram内でビジネスが完結するようになる」(竹林氏)という。
ブランドコンテンツは、クリエーター(インフルエンサー)に企業のメッセージを代弁してもらうインフルエンサーマーケティングであり、今後公式な機能として搭載される予定のもの。その際、ブランドコンテンツを正しく運用するための基本原則として、「透明性」「インテグリティ(誠実さ)」「効果測定」「オリジナリティ」を掲げている。
例えば透明性を保つために、ブランドとタイアップしている場合はその旨が表示されるツールを提供しているほか、フォロワー数ではなくそのカテゴリーで影響力のあるインフルエンサーを選ぶことを推奨するなどの方向性を掲げているが、ブランドコンテンツ自体が「慎重に取り組んでいる未知の領域」であり、まだ時を要するとした。
そのなかで、ブランドコンテンツをクリエイターのアカウントから広告として配信するサービスを2019年内に開始したいとしている。
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