4月1日~4月7日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。
Appleは日本でも、プライバシーをテーマにしたコマーシャルを放映し始めた。iPhoneのプライバシー性能の高さを、街中で身近に起きうるプライバシーを守りたい場面を映し出しながら訴求する。毎日使うスマートフォンこそ、プライバシー性能を追求すべきと言うメッセージだ。
Appleは3月25日に開催したサービスに関する発表会でも、それぞれのサービスごとに必ず「プライバシーとセキュリティ」と書かれたスライドを掲出し、Appleはユーザーの視聴データを収集しないと繰り返しアピールしてきた。まるで、他のサービスはそうしている、と訴えているようでもあった。
その一方で、シリコンバレーにおいては非常にコンサバティブと言えるユーザーデータの取り扱いの弊害として、人工知能アシスタントの発展の遅れが指摘されている。
ユーザーデータをフル活用して賢くなる他のアシスタントに対して、Appleは匿名化やプライバシー製を除外する加工などを行うと同時に、ユーザーデータを極力デバイス、すなわちiPhoneから出さずに扱う方法に取り組んできた。
この取り組みはSiriが登場する2年も前、2009年に発売されたiPhone 3GSの頃から、個人情報をデバイス内で処理する方針が、スティーブ・ジョブズによって方向付けられていたことになる。
Appleはチップを内製化し、非常に高い処理能力と省電力性を両立するAシリーズのチップをiPhoneに搭載するようになった。2017年には機械学習処理を担当するニューラルエンジンが搭載され、2018年モデルのA12 Bionicでは毎秒5兆回の処理を行えるまでになった。
こうして、中央集権的にクラウドにデータを集めなくても、優れた機械学習処理をiPhone内で行い、これを各アプリや人工知能アシスタントであるSiriを通じて活用できるように進めている真っ最中だ。
例えば、iPhoneで撮影した写真は、キーワードで検索できるが、これはiPhoneの中で画像認識のモデルを走らせ、写真の被写体を解析してタグ付けした結果だ。機械学習処理はiPhoneが充電されている夜に行われるため、昼間のバッテリーの心配もいらないという。
Appleは自社チップとそれを搭載するiPhoneで、エッジ、すなわちデバイス側で機械学習処理を行う体制を整えつつある。その上で、Appleは機械学習人材の獲得に動いてきた。
2018年にはGoogleで検索・人工知能の責任者だったJohn Giannandrea氏を雇い入れたことで話題となったが、今度は同じくGoogleのシニア・スタッフ・リサーチ・サイエンティストで、機械学習モデルを訓練させるアルゴリズム「敵対的生成ネットワーク(GAN)」を発明したことで知られるIan Goodfellow氏を雇った模様だ。
ログインせずにパーソナライズできるiPhoneの背景--アップルが取り組むプライバシー(4/4) 元グーグルのAI専門家イアン・グッドフェロー氏がアップルに入社(4/5)Appleは3月25日のイベントで、雑誌の読み放題サービス「Apple News+」、ゲーム遊び放題サービス「Apple Arcade」、オリジナル映像作品見放題サービス「Apple TV+」を発表した。また、Apple Cardなるクレジットカードを発表した。
筆者がこれらの発表を報じていく中で、どうしても個人的に払拭できない1つの『矛盾』があった。それは、iPhone脱却と言いながら、iPhoneの10億人のユーザーベースをアテにしている点だった。
2019年第1四半期、Appleの売上高の6割を占めるiPhoneは15%減となり、絶好調となったその他のカテゴリの足を引っ張る形となった。言い方を変えれば、iPhoneの減速を見越して、Mac、iPad、ウェアラブル&ホーム、そしてサービスの各種部門がその穴埋めを急いだが、結果的には売上高は5%減と、マイナス成長を免れることはなかった。
そうした中で、サービス群は、あるいはiPhoneのエコシステムを脱却し、10億人以外の人々に対してビジネスを展開しようと目論んでいるかもしれない。実際、成功しているかどうか具体的な評価ができないが、Apple MusicはAndroid向けのアプリが用意されており、iTunesを通じてWindowsユーザーも利用可能だ。
ケーブルテレビ局を1局から視聴できるようにする「Apple TV channels」や、オリジナル映像のサブスクリプション「Apple TV+」は、Apple TVアプリを通じて提供される。
iPhone・iPad、Apple TVに加えて新たにMac向けに配信されることが決まったが、さらにSonyやSamsung、LG、Vizioのスマートテレビや、Amazon Fire TV、Rokuといったセットトップボックス向けにも配信されることになった。あるいは、Windows向けApple TVアプリも登場するかもしれない。
雑誌サブスクリプションにしても、Appleに縛っておく道理はない。ゲームサブスクリプションはApp Storeエコシステムと紐付いているため、期待は薄いが。
Appleは完全なユーザー体験を目指し、ハード・ソフト・サービスの三位一体の開発を行っていることは、3月25日にも冒頭で触れられたことだった。しかし、着々と、サービス部門はiPhoneユーザー以外の人たちを狙い始めている。
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