Appleは6月4日からカリフォルニア州サンノゼで世界開発者会議、WWDC2018を開催した。今回、新しいハードウェアは発表されず、ソフトウェアに集中した発表となった。しかしこれまで報じられてきたとおり、インパクトのある大きな刷新を伴わず、安定、高速化、セキュリティとプライバシーの強化を行い、これを開発者に促すものとなった。
iOS 12では、昨年登場したARKitがバージョンアップし、最大4人までが拡張空間やコンテンツを共有できるようになった。また3D物体の認識などが追加された。これは基調講演でもデモが行われたLEGOやSwiftShotのゲームで、その効果を見つけられる。
スマホ中毒対策には、おやすみモードの強化、通知の最適化、「スクリーンタイム」アプリの追加が行われた。アプリ開発者からすれば、開発者会議の場で「アプリ使用時間を縮小させる」と宣言されたわけで、相変わらずAppleのロックな物言いが伝わってくる。
Siriについては、Googleのような全知全能のAIを目指すのではなく、ユーザーに寄り添ったAIを自分で育てていくアプローチを採った。新しいアプリShortcutsを用いて、アプリの機能や複数アプリの連携を自分で選択する。自分のAIの賢さはユーザーが決めることになる。ただし、獲得する機能の推薦は、Siriがユーザーの利用傾向から見出す。
スクリーンタイムもSiri Shortcutsも、既にiOSが取得している端末内のデータを活用する、というアプローチに過ぎない。これまでSiriは、ユーザーがいつ、どんな時間に、どんなアプリを使うか、という傾向を読み取り、おすすめのアプリをリストアップしていた。
Shortcutsアプリでは、これが機能単位に分解され、必要に応じて声で呼び出せるようショートカットを設定できるようにしたまでだ。一方スクリーンタイムアプリでは、それらのログデータをグラフとして可視化し、使い方の改善につなげようとしている。
iOS 12には、最大32人までのグループFaceTime、自分の絵文字を作成してアニメーションができるMemojiといったコミュニケーション機能の追加、株価アプリのニュース連携、ボイスレコーダーのiCloud対応などが盛りこまれている。
watchOS 5では、トランシーバー機能「Wakie-Talkie」が備わったほか、自動的にワークアウトを検出して記録する機能なども盛りこまれた。macOSの新しい名前はカリフォルニア州内にある砂漠Mojave(モハーベ)と名付けられ、黒を基調としたダークモードが搭載される。
一連のソフトウェアは既に開発者ベータがスタートしており、パブリックベータも間もなく始まる。正式版は秋に公開予定だ。iOS 12については、iOS 11が動作しているiPhone 5s以降のデバイスで利用でき、高速化などのメリットを享受できる。
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