5月22日〜5月28日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。
読者の皆さんも、さまざまなサービスからデータ保護規則に関するメールが送られてきているかもしれない。それらには「プライバシーポリシーの更新」「同意」などの文言がほぼ必ず含まれている。これは、EUで5月25日に施行された一般データ保護規則、GDPRに対応するためだ。
AppleはiCloudやiMessageなどのサービスを利用する上で、ユーザーからデータを収集しており、当然このGDPRが適用される対象となる。
そこでAppleは、iCloudのプライバシーページを更新し、ユーザーが自分のデータをダウンロードできるようにした。これは、GDPRが定めるオープンデータ形式での自由なデータの可搬性を担保するためで、現在は欧州連合(EU)、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェ−、スイスのユーザーのみが利用できるが、全世界の顧客が向こう数カ月以内に利用できるようになる。
先週の本連載では、どんなデータがダウンロードできるかについてご紹介してきた。Appleが持っているデータは他の企業に比べて多くはない。また、すでに配信済みのiOS 11.3では、Appleがデータを収集、活用する際に、青い人が握手をしているプライバシーアイコンを表示し、個人情報収集や活用を明示化している。
Appleは「ユーザーのデータは当社の製品ではない」として、ユーザーデータをいかなる形でも収益化しないとの姿勢を強調している。これはFacebookやGoogleなどの、ウェブ広告主体のビジネスを展開する企業とは一線を画していることを強調するためだ。
一方で、Appleが現在力を入れている購読サービスにおけるコンテンツのレコメンデーションや、人工知能アシスタントの強化には、ユーザーの行動データ、ユーザーデータの参照が不可欠となっている。
6月4日から開催されるWWDC 2018でも、プライバシーに関してアピールし、現在の姿勢を堅持すると見られる一方で、ルールがある程度明確になった中で、プライバシーと体験の向上をいかに両立させるか、といったバランスを意識した取り組みも見られるようになるかもしれない。
アップル、「データとプライバシー」のページを公開--GDPR施行を控え(5/24)いよいよ翌週に開催が迫るAppleの開発者会議、WWDC 2018。6月4日10時(米国太平洋夏時間)には、例年通り基調講演が行われ、ライブストリーミングも計画されている。
例年、WWDCの主題はソフトウェアで、今年も2018年版のiOS/watchOS/tvOS/macOSの4つの新OSと、これら向けにアプリ開発ができる新しい開発者キットの披露が、基調講演の話題の中心になることは間違いない。
今回登場するとみられる新型iOS 12は、高速化や洗練などの小幅な刷新に留まると予想されているが、中でもSiriの機能向上には注目が集まる。HomePodの競争力は、Siriの拙さが大きく影響しており、これがスマートフォンの競争に波及する前に、問題を解決しておかなければならないからだ。
その他、iOSでは、有機ELディスプレイを前提としたつねにディスプレイに情報を表示する機能や、Googleが先んじて発表した「スマホ中毒」対策など、ユーザー体験面で要望が多い機能への期待も高まる。
またmacOSでは、Mac向けアプリとiOSアプリとの融合について報じられており、開発者とユーザー双方にメリットのある施策として期待が集まっている。
2017年のWWDCでは、ソフトウェアの話題に合わせて、新型iPad Pro、そしてMacBookシリーズ、iMacシリーズの発表・発売がアナウンスされ、iMac Pro、HomePodといった将来発売される製品も披露された。
Mac、iPad双方とも好調を維持していることから、これらの製品の刷新には期待できる。またMac ProやMac miniといった、MacBook Air以外の既存製品についても披露するには格好の場となるだろう。
WWDC 2018について「Siri」に聞いてみた--音声の変更や新型「HomePod」の登場を示唆(5/22) アップル、WWDC 2018を日本時間6月5日午前2時の基調講演で開幕へ(5/23)2011年に遡るAppleとSamsungのスマートフォンデザインを巡る訴訟について、サンノゼの米国連邦地方裁判所でAppleに有利な評決が下された。これまでに、SamsungによるAppleの意匠権侵害は認められてきたが、Samsungは既に支払った賠償額3億9900万ドルを不服として争われてきた。
評決では、5億3900万ドルの賠償額が認定されたことから、Samsungにとっては賠償額が増加する敗北となった。Appleは10億ドルの支払いを求めていたことから、この金額はAppleとSamsungの主張の中央値にあたる。
Samsungはこれまで、デザインを部分として認定すべきと主張してきた。スマートフォンは複雑な技術や部品によって構成されており、意匠権の侵害がより小さく評価されるべきだとの論を展開してきた。一方Appleは、2018年に40周年を迎えたiMacをはじめとして、コンピュータ製品にデザインの価値を与え、またデザインの価値を業界の中で高める役割を演じてきた。
デザインの重要性については、シリコンバレーでも既に広く認識されている。問題解決を設計するデザイン思考が重視され、スタンフォード大学を中心とした教育機関から企業へと、その考え方と人材が拡がっている。現在のスタートアップの作法にも、徹底的なデザイン思考の実践がたたき込まれ、いわば成功はデザイン思考練習の賜とまで言われる。
またGoogleは、特にGoogle Homeなどの家庭向け製品で、デザインの力を強く発揮している。Google Home miniは、「プライバシー空間にテクノロジーが入り込むこと」を念頭に、素材から検討し、また同じグレーでも150もの照明環境下で『どう見えるか』を試すほどだ。
そうした認識が広がる中で、Appleの意匠権が認められたことは、シリコンバレーでは驚くべきことではないといえる。
サムスンに約590億円の賠償命令--アップルとのデザイン特許訴訟で(5/25)Appleにはかねてから、Project Titanといわれる自動運転車の技術開発に関する噂がささやかれてきたが、同時にこのプロジェクトの大幅な縮小、すなわちTeslaのような自動運転電気自動車を発売するような規模の取り組みではなくなるとのうわさも流れ、それ以来あまり目立った情報が流れなくなった。
ここにきて、Appleの自動運転技術開発がまだ消えていない証拠がいくつかで始めている。カリフォルニア州では既に50台規模でAppleの自動運転実験車が登録されているという。
そして今回のニュースでは、ドイツの大手自動車メーカーフォルクスワーゲンと、従業員のキャンパス間シャトルのために、提携するとの情報だ。これまでメルセデス・ベンツとの提携も進められてきたが、データとデザインの主導権を巡って決裂している。
フォルクスワーゲンとは、T6 Transporterというバンをベースに開発が進められていくとみられている。
アップル、自動運転EVの開発でフォルクスワーゲンと提携か(5/24)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス