Google Clipsの主な目的は、カメラを近くに設置しておき、どの瞬間を捉えるべきかの判断をカメラに任せられるようにすることにある。プロセッサを使って、見慣れた顔や誰かが笑っている瞬間を特定することで、Clipsはユーザーが大切に保管したいと思うような瞬間を捉えてくれるはずだ。
Clipsが撮影するクリップは、実際には15fpsの短い動画(長さは6秒~7秒)である。Clipsはマイクを搭載していないので、音声は記録できない。これらの短いクリップを撮影した後、ユーザーは個々のフレーム(コマ)を選択して写真として保存したり、動く画像やGIFを作成したりすることもできる。フレームレートが低いため、Clipsで撮影された動画は、ユーザーがスマートフォンで慣れ親しんでいる動画ほど滑らかではない。スマートフォンは通常、30~60fpsの動画を撮影可能だ。
筆者はいくつかの状況でClipsを使ってみた。Clipsを食卓の上に設置したり、棚の上に置いて娘の10歳の誕生日パーティーを撮影したり、バスケットボールの試合でゴール裏の観客席に設置したり、別の誕生日パーティーでプールサイドに置いてみたりした。
どの場面でも、Clipsのことを忘れて、自分の求める写真を撮影してくれるとカメラを信じ切るのは難しかった。Clipsを使った最初の数回、筆者は気がつけばしきりにClipsアプリを開いていて、何が撮影されたのかを確認し、設置位置を調節したり、シャッターボタンを使って強制的に写真を撮影したりしていた。
バスケットボールの試合後、Clipsが撮影した写真を確認していたときに、筆者はようやく干渉するのをやめて、Clipsを信頼する必要があることを悟った。娘がディフェンスをし、リバウンドを狙ってジャンプする姿を捉えた複数のGIFができた。Clipsがそれを撮影している間、筆者は写真を撮影するために(あるいは、Clipsをチェックするために)スマートフォンに手を伸ばすことなく、席に座って試合を観戦していた。
しかし、筆者が最も感銘を受けたのは、娘が試合に出場していない場面のクリップでカメラロールが埋め尽くされているという状態がなかったことだ。Clipsは娘の顔が見える瞬間だけを捉えていた。筆者にとって最も大切なのは、そうした瞬間だ。
設置したら後は放置、というアプローチは、筆者がさまざまなカメラでずっと試みようとしてきたことだ。「GoPro」のタイムラプスモードを使用したり、Google Glassを装着してみたり、子どもの学校の劇を全て録画したりして、後で編集して自分の子供が登場する場面だけを抜き出すと自分に言い聞かせながらも、内心では画面を見るのをやめて単純にその瞬間を楽しみたい、と切に願ってきた。
筆者は最近、その理由のためだけに、写真や動画を撮影することをやめていたほどだった。
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