Appleは、iPhoneとMacのエンドユーザーが間もなくARやVRを楽しめると確約しているわけではないが、同社がついに参入したという事実だけでも、開発者にとっては重大事件だ。
もはや開発者は、Appleが同社のいつものパターンで、大きな規模でよく練られたアイデアを引っさげて参入し、ビジネス全体を根底から覆すのではないかと、気にしながら待つ必要がなくなった。
そして、開発者が投資すると決めれば、Appleはその投資対象となるハードウェアを提供できるようになっている。これまでは欠如が目立っていた部分だ。GartnerのアナリストBrian Blau氏は次のように述べている。「変わったことがあるとすれば、それは今まで以上に高度なMacデスクトップとノートブックがそろい、インタラクティブでリアルタイムの先進グラフィック機能が公式にサポートされるようになったことだ。Apple製品を使いたいと強く願うアプリ開発者やコンテンツ開発者にとっては、朗報に違いない」
EpicのSweeney氏は次のように語る。「Macは第一級のVRプラットフォームになったと思う。これから大きく成長し、消費者が最も手を出しやすい形で、VRを多数のコンピュータユーザーに提供できる可能性を秘めている」
とはいえ、VRがどれほど重要になるのか、今のところはっきりしていない。少なくとも、長期的に見ればVR技術はARまでの踏み石にすぎないというのが、業界専門家の見解でも販売予測でも、大方の一致するところだ。The Walt Disney CompanyのCEOであるRobert Iger氏はARに期待をかけている。AppleのTim Cook氏も同じだ。
だが、ARは当初、消費者向けの開発が難しいと考えられていた。Magic Leapはもちろんのこと、「Microsoft HoloLens」ヘッドセットを開発したMicrosoftのような企業は、一般の人が実際に装着したいと思える魅力的なシースルー型ARヘッドギアを開発しようと、かなりの苦労を強いられていた。Facebookが発表したスマートフォンカメラをベースとするARプラットフォームは有望だが、同社によると、スタンドアロン型のARハードウェアはまだ数年先だという。Googleも前述のとおり、Tango搭載のスマートフォン販売には苦戦している。
そこへきてAppleの今回の発表だ。膨大な数のiPhoneがARデバイスとして使えるようになり、しかも特別なハードウェアは必要ない。VRのエコシステムを確立して優位に立っていると思っていたライバル各社は、Appleの後塵を拝することになるかもしれない。
確かに、Appleが示した拡張現実の定義は、他よりも単純で古かった。現時点では、顔に装着するメガネ型のデバイスではなく、ポケットに入れておくピクチャウィンドウだ。
だが、2017年にiOS 11がリリースされ、Appleの開発者が対応して、膨大な数のピクチャウィンドウにARイメージを表示できるようになれば、1年前のPokemon GOですら、「ドンキーコング」や「パックマン」なみに古びて見えるだろう。
各社に、そしてAppleに今必要なのは、ARを満喫できる魅力的なコンテンツを出すこと、それだけだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
働くあなたの心身コンディションを見守る
最新スマートウオッチが整える日常へ
Copilot + PCならではのAI機能にくわえ
HP独自のAI機能がPCに変革をもたらす
ドコモビジネス×海外発スタートアップ
共創で生まれた“使える”人流解析とは