5月に開催された開発者向けカンファレンス「Google I/O」のVRに関する基調講演。スクリーンにスライドが映し出されて、午前のプレゼンテーションが始まった。Googleで拡張現実(AR)と仮想現実(VR)の責任者を務めるClay Bavor氏が、同社の模索している仮想と拡張の体験の領域について語った。
その領域には、現実(Real Reality)と仮想現実という2つの点があり、その中間に拡張現実がある。簡単に言うと、それだけのことだ。
Googleはこの領域の全体を「没入型コンピューティング」(Immersive Computing)と呼んでいる。Microsoftが同じ領域を指して使う言葉は「複合現実」(Mixed Reality)だ。
Microsoftは、タブレットベースのARからVRヘッドセット、「Microsoft HoloLens」まで、今後のハードウェアの全範囲を網羅する包括的な言葉として、「複合現実」を使っている。レドモンドに本拠を置く同社で複合現実と言えば、現実世界(「現実」)と仮想世界(「仮想現実」)が融合したものすべてを指す。3Dの仮想オブジェクトを現実の空間に置き、その両者が融合したように見せる仕組みなら何でもだ(ローテクではあるが「Pokemon GO」がよく知られる例だ)。複合現実という用語は、Microsoftに限らず、ARやVRを手がける他社でも使われている。
そうなると、たいていの人にとって問題になるのが、やはり「拡張現実」の定義だ。これもGoogleが好んで使う言葉かもしれない。マウンテンビューを本拠とするGoogleは、「複合現実」という名前を完全に無視しているようだ。
Bavor氏はツイートで、Google I/O開幕前からこのフラストレーションに触れていた。「VR、MR、AR、RRはそれぞれ異なる別個のものではない。同じ領域内の各所に付けられた都合のいい呼称だ」
Bavor氏は、Google I/Oに向けた長い投稿でも、この領域に関する考えを述べている。
「VRとARが同じ領域内にある2つの点だとするなら、その領域は何と呼ぶべきだろうか。候補はいくつかある。没入型コンピューティング、存在感コンピューティング(computing with presence)、物理的コンピューティング(physical computing)、知覚的コンピューティング(perceptual computing)、複合現実、没入型現実(immersive reality)だ。生まれたばかりの技術なので、定義するにはまだ長い時間がかかるだろう。だが、当面は没入型コンピューティングと呼んでおこう」
ということで、Googleは「没入型コンピューティング」と呼び、Microsoftは「複合現実」と呼んでいるのが現状だ。
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