Amazonが「Echo」シリーズのハードウェアでリビングルームに侵攻を拡大し、端末間の通話サービスの提供を開始したことは、Appleにとっての真の脅威になっている。
Appleには常に技術的な大敵がいるようだ。最初の敵はMicrosoftと「Windows」プラットフォームだった。次はGoogleの「Android」。そして今、全く異なる企業から圧力を掛けられて(恐らく劣勢に立たされて)いる。その新たな敵は、Amazonだ。
Amazonは過去数年間、ハードウェアおよびソフトウェアのエコシステムを忙しく構築してきた。最初は電子書籍リーダーの「Kindle」で、タブレットの「Fire」やスマートスピーカー「Amazon Echo」などにカテゴリを広げた。Amazonが販売してきた製品のすべてが成功したわけではない(「Fire Phone」を覚えているだろうか?)。だが、同社は何年もかけてゆっくりと、粘り強く、そして何より慎重に、エコシステムにデバイスを追加してきた。
そして、Amazonがエコシステムに追加してきたデバイスの多くは手ごろな価格のものだ。電子書籍リーダーは60ドルからで、タブレットは50ドル、「Echo Dot」も50ドル、「Fire TV Stick」はわずか40ドルだ。
Appleの無線イヤホン「AirPods」より少しだけ高い価格で、4種類のガジェットを購入し、エンターテインメントおよびホームオートメーション端末を統合できる。
そして、これらのデバイスのバックエンドとして、Amazonは音声アシスタント「Alexa」の開発に注力した。その結果、ユーザーは手を触れずにこれらのデバイスの多くを操作できるようになっている。AmazonのAlexaとAppleの「Siri」の両方を使った私の経験から言うと、Alexaの方が使いやすく、正確で、自然な会話の理解力も高い(もちろんさまざまな意見があると思うが)。
WindowsとPC以外に語るべき一般消費者市場向けエコシステムを持たないMicrosoftや、自社のハードウェアを販売促進するための広範な人気のある店舗を持たないGoogleと異なり、Amazonはハードウェアおよびソフトウェアのエコシステムを広め、販促するために、自社のオンラインストア事業を利用できるという特異な位置にいる。
Amazonはまた、競合製品を自社のストアで販売しないという権力を行使することもできる。Amazonのオンラインストアで「Apple TV」や「Google Chromecast」が見つからないのはそのせいだ。Google、Microsoft、Appleはそれぞれ自社のストアを運営しているが、Amazonの「プライム」会員向けサービスで購入できないのでは、何百万人もの人にとって存在しないも同然だ(一部報道では、まもなくApple TVが「Amazon Prime Video」に対応し、AmazonがApple TVの販売を再開すると報じられている)。
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