サムスンの一大イベントを控えた数時間前には、同じ韓国の競合LGが、同社初のVRヘッドセット「LG 360 VR」を発表した。LGの新型スマートフォン「LG G5」に対応し(ヘッドセットにはめ込むのではなく有線接続するタイプ)、比較的小型のLG 360 VRは、ゴーグルというより目に着けるヘッドホンという感じだ(米CNETの第一印象の記事を参照)。サムスンやHTCのヘッドセットと比べてLG 360 VRがどうなのか、今後注目していきたい。LGはVRカメラ「LG 360 CAM」も発表している。
コンセプトモデルという面が強い製品としては、エプソンの新しいスマートグラスや、富士通の産業用の拡張現実(AR)ヘルメット、ARを使って新しい自動車を買えるというGoogleの「Project Tango」のデモンストレーションがあった。また2社の企業が、改造型のGear VRと「Oculus」ヘッドセットに視線追跡の機能を追加したものを披露した。
スマートフォンの主要モデルの発表は、例年のMWCより少なかったものの、大手メーカーの存在はやはり非常に大きかった。サムスンはスマートフォンの上位機種シリーズとしてGalaxy S7と「Galaxy S7 edge」を投入し、LGも同じくLG G5を発表。両社とも満席の報道機関向けイベントをフルに活用して(サムスンのイベントについては先述のとおり)、大量のアクセサリとともに新型スマートフォンを発表した。だが、共通点はそこまでだ。スマートフォンの未来に対する両社のビジョンは、これ以上ないほどに大きくかけ離れている。
Galaxy S7は、前モデルの「Galaxy S6」から大きく変わったようには見えない。実際に多くの点で同じだが、カメラの性能向上やバッテリ容量の大幅な増加といった変更点だけでも、「Android」ファンの注目を引くには十分だ。拡張可能なストレージやワイヤレス充電など、「iPhone」にない機能が復活したことで、Apple製スマートフォンとの違いを打ち出しやすくなるだろう。
一方のLGは、非常にユニークで予想外だった機能をLG G5に投入してきた。アクセサリを本体に直接装着できるモジュール式の設計だ。Googleも「Project Ara」で同様のものを開発中だが、LGは、限定的ではあるものの、このコンセプトを実際に消費者のもとに届けつつある。高速プロセッサとデュアルカメラを搭載し、広角撮影が可能になるなど、これまでにあまり見たことのないスマートフォンに仕上がっている。クールな製品であり、今後が非常に楽しみだ。
しかし、他のスマートフォンメーカーは注目を引こうと悪戦苦闘していた。HTCの「One X9」は美しいが、スペックは大きく見劣りし、同社はプレスリリースを送る以上のことをほとんどしていない。筆者としては、One X9は「One」の名称にあまりふさわしくないように思う(幸い、HTCは今後もっと良いものを出すと約束している)。ソニーの新製品「Xperia X Performance」と「Xperia X」はもう少し魅力的だが、Galaxy S7とLG G5の評判にはやはり及ばない。しかも、ソニーが新しいスマートフォンを発表したのは、サムスンとLGのイベントの翌日であり、場所も自社のブースで、立ち見席だけという地味な設定だった。これは、プレゼンテーションが果たす役割はやはり大きく、発表会が大きいほど注目度が高まるということを示している。自社の最高のスマートフォンを大々的に売り込むためには、展示会の参加者全員を有効に活用しなければならない。
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