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顧客の心に火をつけるデータ活用

マーケティングはIoTによって変革する--乃村工藝社の着眼点 - (page 2)

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IoTのきっかけは、物流センターの就労環境改善だった

 「物流センターの移転プロジェクトの責任者が、職場をきれいにしたらバイトが辞めなくなったという経験をお持ちだったため、“綺麗に整ったワークプレイスを作ってほしい”と当社にお声を掛けてくださいました。

 そのオーダーのもと、生産性や社員の定着率向上を目的に、当社が参画しました。実は、私たちのデータを活用した空間活性化サービスは、集客とは全く関係ないところから始まりました。

 その時、システムや物流担当は日立製作所グループ、環境解析やデザインは乃村工藝社という役割分担でタッグを組み、移転後の環境下で、ある工程の作業時間がどれだけ減ったのかを計測することから本格始動しました。そうすると、今までは計れないと思っていたことが、実際に生産性を何%向上させたのか明確な数値としてわかってきたのです」(中村氏)。

ご説明してくださる中村氏
ご説明してくださる中村氏

 サイネージやアイカメラなどのデジタルツールを使った実験によって、人の行動データの可視化が大きな可能性を秘めていることを感じ取ったそうです。具体的なエピソードについては、次のようにお話しいただきました。

 「今までは、その日の目標数値のみを壁に掲出していました。それをデジタルサイネージに変え、全体の工程を一元化させてみました。さらに、今まではエラーが出ると、ブザーが鳴り響きランプが点滅する仕様でした。

 そこで作業工程の調子を波動で表現するように変え、エラー前に大きな波がうねるような視覚表現に変えました。その結果、現場社員が自主性を持って気持ち良く働けるような就労環境に変革させ、生産性約2%向上という成果につなげることができました。また、サイネージ以外の装置各所でも改善を図りました」(同氏)。

コマツの「スマートコンストラクション」や、GEの「インダストリアル・インターネット」のように製造現場の生産性向上に直結するIoT事例として、乃村工藝社の取り組みをご紹介しました。ここからIoTがマーケティングツールへと進展していきます。

「空間はインターフェース」という独自の着眼点

 「今までのコンサルティング業務では、『リニューアルして良くなったね』となんとなく印象論で語っていたことが多かったように思います。それが今回のように、“この工程では2.0%向上しています”と明言できるようになりました。

 “我々のやっている空間活性化というコンサルティングの仕事は計測可能ではないか”と手応えを感じられたのは新しい発想の契機となりました。ちょうど2010年ぐらいのことです。そして、さらには『空間はインターフェース』という考えにも行き着きました」(同氏)。

 この着想を経て、製造現場の生産性向上プロジェクトでタッグを組んでいた日立製作所グループと仕掛けたのが、有楽町の国際フォーラムにて1社独占で実施するビジネスカンファレンス「Hitachi SOCIAL INNOVATION FORUM」の活性化プロジェクトでした。行動データの収集や解析、そしてアイデア実現を、イベントマーケティングにどのように生かしたのかを伺いました。

 「今までは、サイネージを通じて『この商品、良いでしょ!』と生活者に一方的にアピールするだけでした。ただ、センシング技術を用いて『この人はこういうものが好き』と認識できれば、人の行動データや関心データを大量に収得することにつながります。つまり、空間そのものが、PCやスマートフォンと同じように、人とネットワークをつなぐインターフェースになるのです。

 『私たちの空間創造事業はインターフェースをつくっていることと同じ』と着想できた瞬間に、デジタルデバイスを介すビッグデータとの連携のイメージが湧き、事業としての展望を描けるようになりました。具体的には、マーケティングや商品開発の駆動を可能にするということです」(同氏)。

 データ・ドリブン・イベントマーケティングとして最初に取り組んだことは、BtoB業にとって重要なビジネスカンファレンスの「会場の動線分析」でした。どのような技術を用いて、どのようにデータ収集し、どのような課題を導出したのかを伺いました。

イベント会場内の動線分析で見えた2つの問題点

 「まず2013年の開催時に、プライバシーにも配慮した、日立製作所グループが特許を取得しているセンサー解析技術を用いて、空間内の人の行動を測定しました。その技術を用いると、会場内を歩く人をレーザーで追尾し続けることができ、人が会場をどのように回遊するのか、メインステージでのイベント時に人がどう集まりどう散るのかが分かります。この動線分析を通じて大きく分かったことは2つあります。

 1つは、回遊性の低さです。本カンファレンスには、目的意識を持って特定のブースへ来場なさる方が大半です。よって、開催時の目標は、他製品の最先端を知っていただけるよう他ブースへの回遊性を高めることです。結果的に言えば、2013年は来場者に満遍なく各ブースを見ていただくことができず、一部に偏りました。定量的には約10倍で、少ないブースは多いブースの1割しかご来場いただけませんでした」(同氏)。

メインステージ(左側)に多くの人が集まる会場内動線図
メインステージ(左側)に多くの人が集まる会場内動線図

 「もう1つは、メインステージのポンプアップ効果の大きさです。メインステージで30分ごとにイベントを行なったのですが、半径25m以内の来場者のなんと66%の方に集まっていただきました。やはりイベントは注目度が高いのですね。

 別の見方をすれば、メインステージが来場者を集めて散らす“ポンプアップ”のように機能していたのです。空間を活性化させるには、このポンプアップ効果を使わない手はありません。時間帯と場所をうまく配すれば、回遊性を高める起爆剤になると判断しました」(同氏)。

 続いて、2013年に得た知見をもとに、2014年はどのようにリデザインしたのかを伺いました。

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