このところ、「Googleレンズ」を思いのほか頻繁に使っている。これまでは近所の海岸で見つけた貝殻の名前を調べたり、近くのアジア系スーパーで外国語の食品パッケージを読んだりするために、ほぼ毎日のように使っていたが、最近になって旅先でも便利に使えることに気づいた。例えば、奇妙な天候について調べたり、怪しげな宿に気づいたりできる。
しばらく前に、Googleの公式サイトにGoogleレンズの画像検索機能を旅行に活用するアイデアが掲載された。これを機に、筆者はGoogleレンズのエンジニアリング担当シニアディレクターのDounia Berrada氏に連絡を取り、さらに詳しい話を聞いた。同氏によれば、チームはGoogleレンズの検索機能を強化し、旅行の頼れるパートナーにしたいと考えているという。
Googleレンズには、ほとんどの機能がオフラインでは使えないという制約があるものの、手元のスマートフォンですぐに使える無料ツールとしては最高水準の利便性を誇る。
「多くの人はテキストや音声で検索を行っているが、Googleレンズなら画像も検索に使える」とBerrada氏は言う。
ここでは、Googleレンズを旅に活用する6つのアイデアを紹介する。
Googleレンズの機能の中でも、特に旅行で役立つのは即時翻訳機能だ。筆者も地元のキューバ料理レストランを訪れた時や、お気に入りのアジア系スーパーで外国語表記の食品パッケージを読みたい時など、Googleレンズの翻訳機能を週に一度は使っている。
スマホをかざし、Gooleレンズのアイコンをタップするだけで、カメラが捉えた外国語がリアルタイムで(筆者の母国語である)英語に翻訳される。翻訳後のテキストはポップアップ表示されるのではなく、原文の上に重なって表示される。
旅行では、外国語の道路標識や公共交通の路線図、レストランのメニューを理解するために重宝するはずだ。
先日、民泊予約サイト「Airbnb」で、前々から行きたいと考えていたコスタリカの宿を調べていた時、不自然なほど安い宿が目にとまった。この宿の写真をGoogleレンズで画像検索してみたところ、別の国の不動産サイトに同じ写真が別の物件のものとして掲載されていることが分かった。結局、宿の予約は見送り、コスタリカでのバカンスは遠のいた。
Berrada氏によれば、Googleレンズは詐欺を見抜くためのツールではないが、視覚情報を通じて宿の決定を支援することは、Googleレンズの設計意図に合致しているという。筆者にとって、Googleレンズは情報確認に手軽に使えるファクトチェックの手段であり、宣伝文句に違和感を覚えた時は今後も使っていくつもりだ。
美術館で心をゆさぶられる作品に出会ったが、その作品の詳細が分からなかったという経験はないだろうか。筆者は数日前、フロリダ州セントピーターズバーグにあるダリ美術館でダリのシュルレアリスム作品を見た時、まさにそんな気分を味わった。大学時代にシュルレアリスムをテーマにした80ページの論文を書いたことはあるが、美術史の専門家というわけではない。しかし「Daddy Longlegs of the Evening Hope」(邦題「夜のメクラグモ…希望!」)と題された、不穏な雰囲気の奇妙な絵を見た時、この絵についてもっと詳しく知りたいと感じた。
この時に役立ったのがGoogleレンズだ。筆者はスマートフォンのカメラを作品に向け、この作品について教えてほしいとGoogleレンズに頼んだ。すると、すぐに「AIによる概要」が表示され、作者名(これはすでに分かっていた)や制作年、使用されている画材(サイドパネルに表示)といった情報に加えて、この作品の重要性や、描かれているものがそれぞれ何を象徴しているかといった興味をそそられる解説が表示された。さらには、より詳しい情報が掲載されたウェブサイトへのリンクも表示された。
この機能は、目の前にあるものを理解する役に立つ。知りたいものの写真を撮り、それは何かと声でたずねることも可能だ。友達に「待って、これ何?」とたずね、その場で答えをもらう感覚に似ている。
先日、オクラホマ州タルサに住む姉の家を訪れた時のことだ。空を見上げると奇妙な雲が広がっていたため、写真に撮った。ぶ厚い毛布が波打っているような雲が、見渡す限り空全体を覆っている。こんな空は見たことがなかった。
そこでGoogleレンズの「この画像について質問する」機能を使い、この雲は何かを調べることにした。すると、この写真(と同じような写真)が気象関連のブログからソーシャルメディア、ファクトチェックサイトまで、さまざまな場所に掲載されていること、この雲は波状雲に分類され、平行に走る帯や列のように見えることから「雲列」と呼ばれていることが分かった。
ネットや実生活で奇妙な情景や画像に出くわした時、Googleレンズの「この画像について質問する」機能はすばやく関連情報を集め、複数の情報源にあたりながら、それが何かを理解する助けとなる。
外国を旅していると、外国語で書かれたメニューや手書きの標識、博物館の説明、Airbnbのオーナーからのメモなど、翻訳が必要なものに次々と出会う。しかしGoogleレンズを使えば、どんなテキストも写真を撮るだけで即座に要約が表示される。さらに質問をしたり、クリップボードにコピーしたりすることも可能だ。撮った画像には注釈も付けられる。例えばレストランのメニュー全体を翻訳する代わりに、自分の食習慣に合ったメニューだけを強調表示してもらうこともできる。
この機能は、例えば現地の店のメニューからベジタリアン向けの料理を素早く見つけたり、田舎の小さな駅の停留所で手書きの時刻表を解読したりするためにも使えるだろう。Berrada氏も、この機能を使って母親からもらったフランス語のレシピカードを英語に翻訳し、夫と共有したことがあるという。
初めて訪れた街を見て回りたい時も、Airbnbのオーナーが残した外国語のメモの内容を知りたい時も、Googleレンズがあればずいぶん気が楽になるはずだ。
東京の街中をぶらついたり、リスボンの小さな店を覗いたりした時、気になるものを見つけたとしよう。ユニークなキャンバス地のトートバッグ(筆者のお気に入り)であれ、サングラスやハンドメイドの衣料品であれ、Googleレンズを使えば商品の写真をさっと撮るだけで、その商品が他の店ではいくらで売られているか、現在のセール状況、商品レビュー、自宅に送りたい場合は配送に関する情報なども即座に得られる。この機能は、目の前の商品を今買うべきか、もう少し待つべきかを判断するための簡単な方法だ。
店頭で商品を見ている時も、同じような商品が近くの店やオンラインストアで売っていないか、その店の価格は高すぎないか、他の旅行者や買い物客がその商品について何を言っているかを確認できる。Googleレンズがあれば、出先で情報もないまま、衝動的に買い物をしてしまうリスクを減らせる。
「個人的には、これがGoogleレンズの一番多い使い方だ。買い物には本当に役立つ」とBerrada氏は言う。
Berrada氏によれば、Googleレンズは500億もの商品のデータを集めた巨大なデータベースを利用しており、このデータベースはインターネットと実店舗の両方から集めたデータをもとに随時更新されている。Googleレンズはユーザーの目の前にある商品を正しく特定し、最安値も表示してくれるため、ユーザーは購入前に複数の選択肢を比較できる。特定された商品の購入を迷っている場合は、同じようなデザインの他の商品や、「軽量素材」、「耐久性」など、類似の機能を備えた商品も提案してくれる。
Berrada氏は個人的なエピソードとして、先日パリで気に入った服をみつけた時の話を教えてくれた。Googleレンズはその商品をパリで買うべきか、帰国後に買うべきかを為替レートやブランドの入手可能性などを考慮した上で判断する助けになったという。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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