12月1、2日に開かれた「ad:tech tokyo 2015」のセッション「消費者の信頼を勝ち取るモバイルサイトの条件とは」では、企業の「モバイル」に対する意識の遅れ、感覚のずれが指摘され、モバイルサイトの整備を急ぐべき理由が語られた。
登壇者は、モデレーターを務めたドーモ代表取締役の占部雅一氏、グーグルのシニア パフォーマンス ソリューション エキスパートである水谷嘉仁氏、パブマティックのカントリーマネージャーである前川洋輔氏、花王のデジタルマーケティングセンター デジタルコミュニケーション室 リーダーである田中剛氏。
「モバイルシフトが始まった。いま、『モバイルサイトを作るのがよい』と考えている方の95%くらいは『表示(見た目)』にしか興味がない。サイトの表示速度やOne Web(あらゆるデバイスやブラウザで同じ機能を提供すること)、ウェブを構造化することは、ほとんど考えられていない。わたしたちは、モバイルサイトを真剣に考えているか。もしかしたら、単なるPCの置き換えだと思っているのではないか」。冒頭、占部氏は聴衆にこう投げかけた。
占部氏によれば、現在、インターネットに接続されている世界の人口は30億人足らずだが、今後、格安のスマートフォンが発展途上国に流通することなどから、その人口はますます増える見込みだ。そうすると、モバイルを起点とした新潮流が生じると考えられるが、占部氏は「企業はモバイルに関する意識が低いのではないか」と懸念している。
「世界のまともなモバイルサイトは、まだ10%足らず。構造が悪かったり、表示速度が遅かったり、そもそもモバイルに対応していなかったり、不十分なサイトが約9割残っている。日本は20年ほどPCの文化が続いてきたが、それがモバイルに“少し”スライドしたくらいの感覚の人が多い。これではなかなか新しい時代に進めない」(同氏)。
博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が発表した「メディア定点調査(2015年版)」を見ると、モバイルでのメディア接触時間が毎年増えていることがわかる。占部氏は「こうして生活者の新しい可処分時間が増えたことや、テレビを見ながらモバイルを使うことなどが(モバイルシフトの特徴として)言われているが、まだあまり研究されていないのではないか。これをどう使っていくかを考えていくことで、新しいビジネスのチャンスが生まれると思う」とモバイルの可能性を語る。
そして、「正しいモバイルサイトを構築するための技法の知見」が不足しているとし、まずグーグルが提唱する「マイクロモーメント」をテーマに議論を始めた。
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