毎年6月にフランス・カンヌで開かれる世界最大級の広告祭「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」。62回目の開催となる2015年は、世界97カ国から約4万点の作品が集まり、各部門ごとに優秀作品が選ばれた。
「2013年や2014年の受賞作品と比較すると、2015年は傾向が変わった。これまで、おかしくてクスッと笑ってしまうような作品が目立っていた反面、今年はまじめでストレートなクリエイティブの受賞が多かった印象を受けた」。
こう話すのは、2014年のカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル「Lions Health」でブロンズ賞を受賞した小川丈人氏だ。同氏はデジタルマーケティングの総合プロデュースを手がける1→10 HOLDINGSの最高執行責任者で、シニア・クリエイティブ・ディレクターを務めている。
生活者のメディア接触環境が激しく変化する中、これからの広告には何が必要なのか、どのようにブランドコミュニケーションを図ればよいのか――12月1、2日に都内で開かれた「ad:tech tokyo 2015」のルグランによるセミナーブースで、2015年カンヌライオンズのグランプリ受賞作品の傾向と会期中のセッション内容を踏まえて、小川氏が説明した。
小川氏はまず、4月にロンドンの地下鉄や駅構内に掲載されたダイエットプロテインの広告の“炎上”事例を取り上げ、「コンプレックスに関する一方的なメッセージングをすることに対して生活者は反発する傾向にあり、そのネガティブな声がソーシャルメディアを通じて拡散してしまう」と説明。実際、その広告の掲載中止を求める署名活動に対して、7万件の署名が集まったという。
それとは対照的に、共感の得られるメッセージと面白いフックを持ち、YouTubeなどの動画サービスやソーシャルメディアを介して世界的に話題となったのが「The Ice Bucket Challenge」だ。2015年カンヌライオンズでは、NPO団体などの施策が対象の「Grand Prix for Good」に選ばれた。
◇「Ice Bucket Challenge」は世界にどう広がったか
Facebookによる分析
Twitterはヒートマップで再現
「いま、生活者はスマートフォン上で、広告、クチコミ、写真、ソーシャルメディアなどすべてのコンテンツを、自分にとって楽しいのか、必要なのかといった観点で、瞬間的に判断をして情報の取捨選択をしている」と小川氏。その“瞬間的な判断”に寄与できるかどうかをポイントとして、生活者とのコミュニケーション方法を考えるべきだと説明した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」