セガゲームスは11月25日、社内カンパニーであるセガネットワークスカンパニーの事業説明会「セガネットワークス カンパニー メディアカンファレンス 2015 Winter」を開催した。そのなかで、O2Oサービスにおいてソフトバンクならび、モバイルペメントサービス「O:der」などを運営するShowcase Gigとの協業を発表。また、マーケティング支援ツール「Noah Pass」を活用した、グローバルパブリッシングサービス「goPlay」の提供もあわせて発表した。
Noah Passは、アプリの相互送客システムを主軸としたマーケティング支援ツールとして展開しており、10月末時点で参加企業は113社、登録しているゲームアプリ数は554、累計接触端末数は約1億2138万件と年々規模を拡大。それにあわせて機能拡張はもとより異業種に向けた連携や広告事業などさまざまな展開を行っている。
スマートフォンを軸としたO2O展開では、6月に来店連動型広告(O2O広告)おいてGMOチェックインを提供するGMOコマースと提携を発表。そのGMOチェックインの機能を活用したO2Oサービス「ショップラウンド」を11月25日から開始した。ゲームアプリユーザーがショップラウンドの掲載店舗に来店すると、Noah Passに参加しているゲームアプリ内のアイテムと交換可能な特典が付与されるサービスとなっている。
セガゲームス セガネットワークスカンパニーCOOの岩城農氏は、O2O市場は膨大でネットの影響力が拡大傾向にある一方、その99%はスマートフォン以外で形成されていると分析。その状況からスマホ向けO2O市場を「未開拓の市場」と考えているという。そしてShopRoundだけではなく、購入成果型O2Oの新サービスにも乗り出す。これには、ソフトバンク、Showcase Gigと協業体制を構築する。
役割としてはソフトバンクが広告主に向けた広告営業や店舗における店舗営業を通じ、クーポンが利用できる店舗網を提供、Showcase Gigは新サービスの企画運営や決済を、セガネットワークスが広告掲載面の提供やユーザー送客、参加ゲーム会社への収益分配をそれぞれ担当する。サービス利用の流れとしては、ゲームからウェブサイトへ誘導をかけ、事前購入を行いクーポンを取得。それを店頭で商品に引き換えるといったイメージを想定している。
ソフトバンク法人事業開発本部 デジタルマーケティング事業統括部統括部長であり、SBギフト代表取締役でもある藤平大輔氏は、「Yahoo! JAPAN」と連携したO2O事業「ウルトラ集客」を展開。こういったO2O事業は、PCの業界ですでに一般化しており、現在さまざまな業種が注目していると説明した。小売業全体売上の約半分はデジタルが寄与しているもので、デジタルを活用して情報を収集している顧客の購入率は40%上昇するとのこと。顧客単価やロイヤリティも高いとし「デジタルを活用する顧客は、企業が今後アプローチしていく過程で生命線と言えるぐらいに重要」と語る。デジタルに造詣が深いユーザーとソフトバンクが提携している企業や店舗基盤を結びつけることでよりよい顧客体験の提供するとともに、新たなサービスモデルと築くことができればとした。
Showcase Gig代表取締役の新田剛史氏は、オンラインにおけるゲームに時間を使うユーザーは多いため、リアルとの接点としては非常に強力だという。過去にスマホ向けパズルゲームを実店舗とコラボレーションしたイベントの事例から、適切なコンテクストを設置した場合には、従来の広告展開では得られなかった顧客層の開拓もできたとし、ゲームユーザーにおける日常生活の消費行動に溶け込んでバリューを出せるかが鍵だとした。
もうひとつの新サービスは、Noah Passの機能を活用したスマートデバイス向けゲームの海外パブリッシングサービス「goPlay」。資本業務提携を行ったGo Gameと共同で展開する。
岩城氏はスマートデバイス向けゲーム市場において、端末の機能向上にともない開発費をはじめとした初期投資費用が高騰している現状に加え、国内ではスマートデバイス市場が“人口の壁”もあり成熟しつつあることから競争が激化。初期開発や初年度運営、マーケティング費用まで含めると、大型タイトルであれば数十億規模にまで膨れあがっており、コンソールゲームの開発費に近づきつつあるという。
こういった背景から市場規模の拡大が見込める東アジアや欧米など海外展開を考える企業も少なくないという。一方で、市場環境や言語、文化の違い、地理的な隔たりから発生するコストなどの参入障壁が存在し、海外での事業展開には高いコストをかける必要がある。岩城氏はNoah Passの海外展開にあたって「日本市場のひとつのヒットタイトルを、世界中の人たちに受け入れてもらうという幻想を捨てること」を念頭に置き、「より多くのコンテンツを」「より早く」「より多くに国に」提供することを考えたと語る。それははじめから世界を意識するといったことだけではなく、単発展開では難しい顧客基盤を築くことや経験値を積むメリットがあるという。
サービス内容としては、SDK/ソフトウェア開発キットである「goWrap」や、展開地域特性やターゲットニーズに合わせた決済手段を選択ができる「goPay」、Noah Passの機能、パートナーシップ企業によるマーケティング、カスタマーケア、ローカライゼーションなどといったソリューションの提供を挙げている。サービス開始は2016年春からを予定。利用プランのなかには、岩城氏がこだわって入れたという無料で利用できるプランも用意されている。
共同展開を行うGo Gameは7月に創業した会社。CEOを務めるDavid Ng氏は、かつてgumi AsiaのCEOを務め「ブレイブフロンティア」や「チェインクロニクル」の世界展開にも携わったとしている。同氏はこれまでに得た経験やノウハウを生かしてこのプロジェクトを推進するとともに、「日本のコンテンツを待ち望んでいる世界のユーザーはとても多い」と、goPlayへの参加を呼びかけていた。
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