セガネットワークスは2月19日、メディアカンファレンスを実施。スマートデバイス向けマーケティング支援ツール「Noah Pass」の事業戦略、新作タイトルや今後の方針について発表した。
セガネットワークス代表取締役社長CEOの里見治紀氏が登壇。セガサミーホールディングスがグループの構造改革を行っている件について触れた。既報の通りセガネットワークスは、現在のセガに吸収され「セガゲームス」として4月1日から新たにスタートする。里見氏は今後のセガゲームスについて、経営体制としてはセガネットワークスとセガのカンパニー制を敷くという。セガゲームスの代表取締役社長ならびに両カンパニーのCEOは里見氏が務めるものの、2つのカンパニーのCOOは別途担当者を付け事業を拡大する体制にしていくという。
里見氏は、セガグループに足りなかった事業展開のスピード感を分社化によって手に入れたと振り返り、「分社化したメリットを最大限に生かし、大きな事業体として人材の流動性やより資金を投下するために、このような体制にした」と語った。また今期の事業について目標は達成したものの、期待のタイトルのリリースが来期にずれ込んだため「残念な年だった」といい、来期は国内向けに10本以上の新規タイトルを提供していくほか、ライセンス中心としていた海外展開についても、自社パブリッシングの体制を拡充し挑戦していくという。
セガネットワークス上席執行役員事業本部長の岩城農氏からは、Noah Passの新展開について語った。Noah Passは、アプリの相互送客システムを主軸としたマーケティング支援ツール。手数料無しの無料で参加できることを特徴としている。このシステムは拡大傾向にあるとし、2月17日時点で参加社数が88社、総ユーザー数は8912万、MAUは1月末時点で1072万件/月であると発表。「有益に思ってもらえる規模になって、損はないので入らない意味が無いというところまできた」という。
前回のカンファレンスで、Noah Passの次のビジョンとして異業種協業を図っていく戦略を語ったが、今回新しい展開として取り組むのはコミック業界と語った。現在コミック誌の市場は右肩下がりであるなか、電子コミックの市場は伸びてきているものの、まだコミック誌の市場を補完するものにはなっていないと説明。そんななかで、ディー・エヌ・エーのマンガアプリ「マンガボックス」との試験結果で効果があったとし、「昔から根付いている娯楽としてマンガの持つパワーはいまだに強いものがある。エンターテイメントコンテンツとしてゲームとの親和性は高い」と語り、Noah Passのエコシステムを活用しながら双方の市場拡大を狙うという。その取り組みとして講談社の少年マガジンと協業。具体的な施策については後日発表するという。
そしてNoah Passの機能を拡張した追加サービスである「Dashboard」のベータ版を4月1日から開始することも明らかにした。またこれにあわせて、メタップスとの戦略的業務提携ならびにデータセクションとの業務提携を発表した。
ユーザータイプ分類などNoah Passのもつノウハウに、メタップスの人工知能によるアプリ収益化支援サービスである「Metaps」のデータ分析メニューである「Metaps Analytics」を融合。アプリ内のユーザー構成や推移、マーケット情報や効果分析など、ゲーム運用に有用なデータを一括して提供する。またデータセクションとはメディア別接触ランキングの可視化や応用展開、Dashboardで創出されるビッグデータの異業種交流を加速させる狙いがあるという。なおメタップスとの提携についてはこれだけにとどまらず、新規サービスの共同開発や海外展開における協業など、さまざまな面で連携していくという。
ゲームタイトルにおける国内戦略として、まずモバイル分野ではハイエンド化が不可避であることや開発費の高騰、開発の大規模化が進んでいくものとし、長期トレンドとしてコンソールクオリティへの進化を挙げた。また短期トレンドとして、現在のヒットタイトルで見られる「マルチプレイ」、よりゲームを遊ぶ環境がスマートデバイスになじむ「アクション性」、ストーリー性のある「IP/世界観」の3つを挙げ、長期トレンドと短期トレンドを見据えて展開するという。
新作タイトルとしては、テーブルトークRPGのセッションによって生まれた「レッドドラゴン」を原点とするメディアミックスプロジェクトから「ケイオスドラゴン 混沌戦争」を初お披露目。このほか、f4samuraiとの共同開発となる戦記RPG「オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-」やソニックチームが手がけるスマホ向け新作の「ソニック ランナーズ」を紹介した。
また海外向けの展開としては、米国Demiurge Studiosを買収して子会社化したほか、米国Ignited Artists、英国Space Ape Gamesを子会社に持つSpace Apeの一部株式を取得するといった、欧米ゲーム開発会社3社へ投資を実施。パイプラインを拡充し、国内で展開している自社コンテンツの海外展開に加え、現地市場向けコンテンツの開発や提供体制を強化するとしている。
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