デジタルマーケティングに携わる担当者にとって、SNSの活用はもはや欠かせない手段となっているが、そのマーケティングの対象はBtoCだけでなくBtoBへと拡大する傾向を見せている。SNSを活用したマーケティング活動にはこれから何が求められるのか。ビジネス特化型SNS「LinkedIn」でアジア太平洋・日本地域のマーケティングソリューションを統括するオリヴィエ・ルグラン氏に、LinkedInの現状とあわせて聞いた。
--まずは、LinkedInの現在の動向について教えてください。
ルグラン氏:LinkedInは現在、世界で3億8000万人のユーザーが利用し、24言語に対応しています。細かく見ると、アジア太平洋地域では7300万人、日本では150万人近くのユーザーがいます。グローバルで1秒に2人の新規ユーザーが登録しているペースです。
個人ユーザーの利用動向は、ネットワーキング(人脈形成)、ナレッジの共有、ビジネスの受注や転職活動といった仕事に関するやりとりの3つの柱を軸として、ユーザーがオンラインでプロフェッショナルとしてのアイデンティティを形成できる場所として活用されています。
以前のLinkedInは“転職サイト”という印象が強かったと思いますが、2012年にブログ記事を投稿できるパブリッシングプラットフォームを開始してからユーザーによるコンテンツの発信が活発になり、メディア化が進んでいる状況です。会員も、従来の7倍以上がコンテンツを閲覧しており、利用目的が転職のための情報収集からコンテンツ視聴にシフトしていることを裏付けています。
--SNS黎明期はFacebookやTwitterといった汎用性の高いSNSがスケールメリットを確保して市場をけん引してきました。しかし、最近では流行がひと段落したところで利用目的が明確化されたニッチなSNSへのニーズが高まっていると感じます。
ルグラン氏:もちろん、SNSの運営においてスケールが大きいというのはよいことではあります。しかし、私たちは、“プロフェッショナルのためのSNS”はスケールよりもそのソーシャルネットワークの質が重要だと考えています。
LinkedInは“全世界の人に使ってもらいたいSNS”というわけではありません。ターゲットはプロフェッショナルに絞り込んでおり、全世界に7億5千万人いると言われているナレッジワーカーの方々なのです。
LinkedInを他のSNSプラットフォームと比較すると、他社は(汎用性が高い一方で)機能やサービスの目的がはっきりしていません。しかし、LinkedInは「ビジネス」というはっきりとした目的があり、ユーザーもそれを認識しています。一方で機能やサービスの目的も明確化できるため、非常にクリアなポジショニングができているのではないかと思います。
私たちがユーザーに認識してほしいのは、ソーシャルグラフの使い分けを推奨したいということです。要は、TPOに合わせて使うSNSを使い分けるということ。たとえば、Facebookは週末バーベキューをする際に使われ、LinkedInは平日のビジネスランチのシーンで活用されるという具合です。人は、たとえば、ビジネスパーソンとしての顔があれば、週末のパパとしての顔も持っている。色々な顔をひとつの場所で発信することは難しく、場を分ける必要があります。ここが、LinkedInが差別化を図ろうとしているポイントです。
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