米セールスフォース・ドットコムは、ニューヨークで3日間にわたり大規模なマーケティングイベント「CONNECTIONS 2015」を開催。2日目となる6月17日のキーノートでは、「Marketing Cloud」担当CEOのスコット・マッコークル氏らによって、最新のデジタルマーケティング事例や新機能などが披露された。
Marketing Cloudは、顧客データや行動データを一元化し、リアルタイムに組み合わせることで、メールやソーシャルメディア、SMS、LINEなど、あらゆるチャネルやデバイスを活用した顧客との「1対1」コミュニケーションを実現するCRM(顧客管理システム)。マッコークル氏は、2012年から同CRMは右肩上がりで成長しているとするガートナーの調査レポートを紹介し、「他社を凌ぐ勢い」と胸を張る。
同日には、目的やシーン別に、セールスフォースの顧客企業である5社の活用事例が紹介され、次世代のデジタルマーケティングのあり方を示した。
まず、最初に紹介されたのが世界最大のファーストフードチェーンである「マクドナルド」。世界で毎日約7000万人に食事を提供している同社は、多くの人々の日常生活に溶け込むことに成功している。そんなマクドナルドの屋外広告やテレビCMを見ない日はないが、見方を変えれば従来型の広告アプローチでは新しさがなく、消費者の来店を促すことが難しいとも言える。
そこでマクドナルドが活用したのは、TwitterやFacebookの広告と連携して、あらゆるデバイスのアクティブな顧客とつながることができる、Marketing Cloudの新機能。過去に注文したメニューやデリバリーサービスの利用頻度などから、その顧客の味の好みなどを分析して、マルチチャネルで商品やサービスを訴求するものだ。
たとえば、マクドナルドをよく利用する顧客が、Facebookでマンハッタンにチェックインすると、ニュースフィード上に現地のデリバリーサービスなどの広告を表示したり、メールを送信したりする。さらに、ニュースサイトの読者データから、その顧客がどのようなクリエイティブに興味を持ちやすいかを把握して、ハフィントンポストなどのサイト上に表示するという。
このCRMと広告を連携させた施策によって、顧客あたりの売上を2割近く上げることに成功したという。
続いて紹介されたのは、トレッドミルなどのエクササイズマシーンを販売する「PRECOR」の事例だ。同社はジム施設だけでなく、オフィスなど法人向けにもマシーンを販売している。
いくら広告やキャンペーンを展開しても、それが関心の高い顧客に届かなければ購買にはつながりにくい。BtoBマーケティングにおいては、セールス(営業)とマーケティングのチームがいかに連携するかが重要になる。そこで、PRECORではMarketing Cloudによって、セールスチームが、マーケティングツールやコンテンツにアクセスしやすくしているという。
PRECORのサイトでカタログ請求をした見込み顧客の、名前やメールアドレス、会社名などの情報はMarketing Cloudに送られてリードとして保存される。ここですぐに電話をかけたいところだが、セールス担当者はマーケティングデータを確認し、相手の興味関心を十分に理解してからアプローチする。
また、顧客が法人である場合、予算の確認に時間を要することがあるが、その間にも相手の気持ちが変わらないように、自動的にターゲティングされたキャンペーン情報などを送り続けることができるという。
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