新規顧客の開拓は大切だが、その後もいかに継続して商品を買い続けてもらうかということも忘れてはいけない。おもちゃメーカーの「MATTEL」は、オンラインとオフラインをまたいだ施策によって、顧客の定着に成功している。
MATTELでは、ECサイトで商品を購入した顧客への注文確認メールの中で、自社アプリへのダウンロードを促している。その際にダウンロードしたかどうかなどの行動データを蓄積して、シーズンごとに送るメッセージを変えるなどABテストをしながら顧客に訴求している。
また、同社のミニカーなどのパッケージにはQRコードがプリントされており、モバイルのプッシュ通知でQRコードのスキャンを促す。購入者がスマートフォンでQRコードをスキャンすると、レースゲームのアプリをダウンロードでき、実際に購入したミニカーと同じ車種でレースを楽しむことができる。
家具メーカーの「Room&Board」は、MATTELとは異なるアプローチで、顧客の定着を実現している。
Room&Boardでは、機械ではなく人の手で丁寧に作られたこだわりのリビング家具を販売している。家具は一度買ってしまうと数年間買い換えることがないが、そうした顧客にも常に自社の商品を意識してもらうために、店舗と同様の顧客体験をECサイトで再現している。
たとえば、過去に購入したソファーの形状や色などから顧客の好みを割り出し、その人が次に購入する際におすすめの商品をサイト上に表示。そこでのクリック履歴などがMarketing Cloudに蓄積されレコメンドの精度を上げている。
また、毎週月曜日の朝に個々に最適化された自動更新のメールを送信。その開封率やコンバージョンを商品カテゴリやプロダクト単位で確認できる。これによって同社の売上は3割ほど増加したという。
カスタマイズしたジュエリーを作れる「ALEX AND ANI」は、ソーシャルメディアを活用して顧客動向の分析や、サポート、商品情報の配信などをしている。
TwitterやFacebook、特にInstagramなどのSNSには、ALEX AND ANIのジュエリーの写真がさまざまなストーリーとともに投稿されている。同社ではMarketing Cloudによって、どのサービスや言語で、どのような内容が投稿されているかの統計を出し、どこに潜在的なファンがいるのかを把握している。
そこで「ブレスレットのつなぎ目が壊れたんだけど、どうすればいい?」といった投稿があれば、その顧客に対してメールを送って修理や交換などのサポートもできる。また、その顧客の問題が解決するまで、別の商品のキャンペーン情報を送らないといった配慮もすることで、顧客の獲得につなげているとした。
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