アジア現地駐在員マーケティングレポート

経済大国へ名乗りを上げたフィリピン--2050年「GDP10倍成長」の見込み

島田裕一(アウングローバルマーケティング)2015年03月04日 08時00分
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 この連載では、アウンコンサルティングの現地駐在員による、日本・台湾・香港・タイ・シンガポールでのマーケティングに役立つ現地のホットトピックを週替わりでお届けします。今回は番外編として、フィリピンを舞台にお送りします。


フィリピン・マカティの街並み

 成田からフィリピンまでのフライトタイムは約4時間。約6時間かかるタイや、約7時半かかるシンガポールと比べ、東南アジアの中で最も日本に近い国です。その首都であるメトロ・マニラ内にある“マカティ”という都市に訪問しました。

 写真を見てわかるように、高層ビルが立ち並ぶ近代的な街並みで、さまざまな国の企業がビジネスを展開しています。今回は、そんなフィリピンのマクロ状況やマーケティング情報をお届けいたします。

人口1億人突破--若い労働力に期待が掛かる

 フィリピンは、日系企業の海外進出において、魅力的な点が多くある国です。特徴は、まず人口とその増加率。フィリピン政府によると、2014年に人口が1億人を突破し、今後も人口は1年に2%ずつ増え続けるそう。そして2028年には1億2300万人に達して現在の日本を追い抜き、2091年まで増え続ける見通しです。

 また、2012年の世界銀行のデータによると、出生率は3.08人と、日本の出生率1.41人の2倍以上です。平均年齢も23歳と、労働人口の増加が経済成長を押し上げる「人口ボーナス」が当面続くとされます。

 実際に街を歩いてみても、日本と比べて、子供や若者が明らかに多く見受けられます。また、多くの若者が月給より高額であろうスマートフォンを持っていたことも印象に残っています。


フィリピンの人口推移

GDPの成長とその背景

 HSBCの発表(PDF)によると、フィリピンのGDPは2010年時点の1120億ドルに対し、2050年には10倍以上の1兆6880億ドルになるであろうと予測されます。また、フィリピンの特徴として、OFW(Oversea Filipino Worker)と呼ばれる海外出稼ぎ労働者からの送金がGDPの約1割を占めていることが挙げられます。2013年、224万2000人の海外出稼ぎ労働者による送金が229億7000万ドルとなり、2013年のフィリピン名目GDPの8.4%に相当する額となりました。


2050年まで急伸すると予測されるフィリピンのGDP(出典:HSBC)

90%が日本好き--フィリピンは親日国家

 アウンコンサルティングが2014年8月に実施した調査では、フィリピン人の90%が日本を好きだと答えており、親日国家であることがわかります。また現地駐在員によると、近年フィリピンでは日本語学校に通う生徒が増えているとのことです。

 日本貿易振興機構によれば、同年10月時点でフィリピンに進出している日系企業数は1260社と多く、現在でも新規の日系企業進出が著しいことも、フィリピンの日本語学校生徒数の増加に繋がっているのではないかと考えられます。


アジア各国に聞いた「日本という国が好きですか?」(2014年度)

歓楽街は日中でも危険--課題は「治安の悪さ」

 とはいえ良いことばかりではなく、首都であるマニラは貧富の差が激しく、治安が悪いです。現地在住者からも、「歓楽街は日中でも出歩いてはいけない」「ショッピングモールなど賑わっている場所でも、日が暮れてからは行かない方が良い」と、念を押されたほどです。

 日系企業が多く集まるマカティは商業の中心地で日本人居住者も多く、近代的な町並みでシンガポールを彷彿とさせますが、それでも夜の出歩きは控えたほうが無難です。

フィリピンの全就業人口のうち53%がBPO産業に従事

 フィリピンの主要産業は農林水産業と、近年増加の一途にあるBPO(Business process outsourcing)産業。外務省のデータによれば、全就業人口のうち、約31%が農林水産業に従事しており、約53%がBPO産業に従事しています。

 BPO産業の中でも最も一般的なのがコールセンターであり、BPO産業のなかでも49.8%の人々がコールセンター事業に従事。次いで、コンピュータプログラミングが30.0%、データ処理が6.3%となっています。

 フィリピン人は英語が堪能なため、欧米企業からの依頼で、テレマーケティングでアポイントを獲得するなどの「アウトバウンド」や、問合せ電話の応対などの「インバウンド」を手掛ける企業が非常に多いです。フィリピンの他業種と比べても高給なため、大卒でテレマーケティングに従事する人が多くなっています。


BPO内訳データ(出典:フィリピン国家統計局)

【現地の小ネタ】フィリピンビール「サン・ミゲル プレミアム」

  • サン・ミゲルビール

 サン・ミゲルビールのプレミアムラインです。日本で言うプレミアム・モルツのようなもので、通常のサン・ミゲルビールの2倍の値段ですが、香りと喉越しがよく、ゆっくり飲みたい休日にオススメです。

 普段滞在する香港やシンガポールでの青島ビールや、台湾での台湾ビールと同様に苦味が少なく南国風の味ですが、このプレミアムはそれにも増して爽快感があります。

島田裕一(しまだ ゆういち)

アウングローバルマーケティング マネージングダイレクター

2006年アウンコンサルティング入社。

検索エンジンマーケティング(SEM)における新規顧客開拓を担ったのち、SEMコンサルタントとして大手プロバイダや不動産などを中心に企業のマーケティング支援に従事。

その後、沖縄支店およびアウンタイラボラトリーズのヘッドマネージャーとして、現地法人運営と現地スタッフの育成、売上拡大における販売戦略の立案と実行を行う。

現在は海外拠点、アウングローバルマーケティング(シンガポール)とアウン香港マーケティングのマネージングダイレクターを兼任し、幅広い業種・業態のSEMを含む、グローバルマーケティング活動の支援を行う。


※記事に関するお問合わせは下記まで。

 広報担当 千代田/TEL:03-5803-2739 MAIL:pr@auncon.co.jp

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