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新潮流「ダイナミックリターゲティング」

ネット広告の歴史を振り返る--「ダイナミックリターゲティング」誕生まで - (page 3)

平澤新人 (Criteo)2015年03月05日 08時00分
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 株式市場といいましたが、アドテク誕生の背景としてよく語られるのがリーマンショックとの関係です。2008年暮れに起きたリーマンショックによって職を失った金融工学エンジニアが広告業界に流れ、株式市場で適用されていたオークションシステムを広告においても実現したといわれています。

 2010年代に入ると、テクノロジの進化が加速します。広告主側が、市場であるRTBにおいて、オーディエンスターゲティングを取り引きするための仕組みである「DSP(=Demand Side Platform)」、媒体側の仕組みとして「SSP(=Supply Side Platform)」、さらにユーザーの行動データや属性データといったオーディエンスデータを管理する「DMP(Data Management Platform)」など、アドテクを中心にした新たなビジネスが勃興し、多くのベンチャー企業が誕生します。これらの詳細な説明については、これだけで数週費やすボリュームになってしまうため、本稿では割愛します。

 ここでの大きなターニングポイントは、従来、主に純広告で使用され、踊り場を迎えていたディスプレイ広告がアドテクを取り込み、オーディエンスターゲティングを活用することで、高付加価値の商品として生まれ変わったことです。

 アドテクを利用したディスプレイ広告は、枠売りや期間売りの商品ではなくリスティング広告同様「運用」することが必要な商品となりました。2011年よりインターネット白書においても、「運用型広告」「枠売り広告などその他広告」という2つに大分類される(前述、図4)こととなります。

 リスティング広告に加えて、前述したように高付加価値を得たディスプレイ広告により、広告主にとっては、より多くのユーザーを自社サイトに訪問させることが可能になりました。しかしながら欲求は尽きないもので、次の課題として浮かび上がってきたのが、訪問したものの離脱してしまったユーザーへのアプローチです。

 皆さんはネット上で商品を買う際、1度の訪問で購入まで至るケースは稀なのではないでしょうか。一般的に100人が自社サイトに訪問して、購入まで至るケースは2~3%(ただし業種などにより大きく異なります)といわれています。つまり90人以上の人はせっかく訪問してくれたのに何も買わずに離脱してしまうのです。

 この部分に特化したターゲティングとして生まれたのが「リターゲティング広告」です。さらに、サイト訪問者に対して単純にバナー広告を掲載して再来訪を促すだけでなく、折しもアドテクの登場により積極的に自社データを活用するようになった時代、離脱したユーザーがどのような商品を閲覧したかという情報を付加した上でリターゲティングを行う「ダイナミックリターゲティング」の潮流が生じます。

 いうなれば、楽天やアマゾンを訪れた際、過去の購買/閲覧履歴を元にした、自分にあったレコメンド商品が表示されると思いますが、これと同じような仕組みをユーザーが滞在しているコンテンツにおいて実現するものです。

  • (図6)バナー広告の例

 離脱したユーザーをただサイトに戻すのではなく、閲覧していた商品ページへ誘導する。または、ここが各ダイナミックリターゲティングサービスを提供する各社の秘伝の味付け部分ですが、膨大なビッグデータを解析し、ユーザーが閲覧していなかったとしても興味関心があると予想される商品をバナー上に表示し、そのページへ誘導するといったことも実現可能になりました。

 Criteoが日本でサービスを開始してから約3年。日本のインターネットユーザーの89%が1カ月に1回以上、Criteoが生成・配信している広告を目にするまでに「ダイナミックリターゲティング」広告は急成長しています。そして、広告主によってはリスティング広告と双璧をなすまでの重要なインターネットマーケティング施策とまでいわれるまでになってきています。

 次回からは、「ダイナミックリターゲティング」広告の本質を深く掘り下げていきます。

平澤 新人

Criteo

シニアマネージャー アカウントストラテジー

2001年、オプト入社。メディアバイイングおよびSEM黎明期の販売、運用に携わった後、2004年、オーバーチュア(現ヤフー)で大手企業へのマーケティングサポート、新規プロダクトの開発を経験する。その後、アマゾンジャパンでSEM/SEO/Eメールマーケティングを担当。2012年より現職。

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