前々回、前編と後編の2回に分けてAirbnbについて書いたが、日本ではまだ知名度が低いようだ。そこで今回は、主な競合サイトやビジネスモデルの違いについて紹介したい。
まず、Airbnbのサービスが画期的だと考えられたのは、自宅の空き部屋を貸したい個人を旅行者とマッチングするという点である。眠っている個人のリソースを共有する個人間のシェアリングとして注目を浴びたわけだが、ビジネスが拡大するにつれて、自宅の空き部屋だけでなく、自宅や別荘、投資物件を丸ごと貸す人も増えた。
Airbnbを英語で検索すると”Vacation Rentals, Homes, Apartments & Rooms for Rent”とVacation Rentalsが冒頭に出る。日本語でも「現地の人から借りる家・アパート・部屋・バケーションレンタル・民宿予約サイト」と「バケーションレンタル」が入っており、さらに日本の「民宿」も含まれている。
バケーションレンタルは、ヨーロッパではHoliday Villaとも呼ばれ、昔から広く利用されてきた。次回紹介するが、米国ではAirbnbが登場する前から、そうした物件専門の掲載サイトが存在し、実際、Airbnbと競合サイトに同時に同じ物件を掲載しているオーナーも多い。
バケーションレンタルはもともと、自分が使わない間、リゾートにある別荘を短期で貸し出すことから始まったのだが、今では都心部の物件も増え、初めからバケーションレンタルとして運営するために投資物件として購入する場合もある。たとえば、ハワイの貸コンドーなどもバケーションレンタルである。いずれにせよ、オーナーの自宅ではない。管理会社が管理している場合も多い。
Airbnbを使って海外で宿泊した日本人旅行者には「個人宅に泊まる間借りだと思っていたのに、家主は別のところに住んでいて交流がなく、残念」という人もいるが、個人宅に住人と同居したかったのであれば、予約のときにそうした物件を選ぶべきなのである。宿泊客と交流など望んでないオーナーも多くいる。なお、Airbnbでは、物件を検索する際に、「まるまる貸切」「個室」「シェアルーム」を選べるようになっている。
執筆中、Airbnbで見つけた米国内「まるまる貸切」物件に滞在していたのだが、オーナーの自宅ではない。オーナーは隣接物件も所有しているのだが、そちらは長期で賃貸しているのに、この物件を短期で賃貸しているのは利益率が高いからだという。短期の方が高い賃料が取れるので(メンテはその分、煩雑)、長期賃貸物件を短期賃貸に変換するオーナーもいるため、家賃が高騰する地域では、長期賃貸物件不足が悪化することを恐れて短期賃貸に反対している低所得者保護団体もある。
なお、Airbnbに使われているBNBとはB&B(Bed&Breakfast)のことだが、B&Bは朝食を提供し、オーナーも同じ住居または敷地内に居住する宿泊施設である。B&Bが朝食しか提供しないのは、朝食だけであれば飲食サービス免許を取得しなくてよい州や自治体が多いからだ。その他、宿泊税の支払や物件検査などB&Bは各種法律に従わなければならないのに(オアフ島では禁止、フロリダのように半年未満の賃貸には売上税を課す州も)、Airbnbで物件を掲載する貸し手は何の法律にも従わなくてよいということから、B&Bの経営者からも反発の声が聞かれるのである。
後編では、Airbnbと競合する主なバケーションレンタル掲載サイトを比較紹介する。
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